暮れ方に欲望が見えた(Soul survivor)  







息を吹き返す混沌の夕暮れに
ただならぬほど白い画面に
観念上の血の色を塗りつけながら
折れた虫歯が歯茎を噛む音を聞く、あまりに肉感的なエコー
汚れた河川敷にのめり込む秘密のようだ
瞬間の痛みが
刻もうとしていた何かを忘れさせてしまう
おおお、と俺は吠えて、けれど
叩き壊すほどに気高くも居られず
弾き飛ばされた一行の運命に悪態をついてしまう
窓には夕日
溶岩のように
煌々と燃える夕日
俺の人知れぬ停滞を炙りながら暮れるのを恐れる誰かを脅かしていた
ふと目に留まる風景の中にもの言わぬ運命がある
歯茎に滲んだ血の味をどこかフィクションのように噛み締めながら
キーボードという名の味気無いペンシルをもう一度確かめる
あー、何にも通い合うものなどありはしないよ
だからこそ俺は奔放であろうと
懸命に爪を磨り減らすのさ
これが終わらなきゃ眠れない
最後の一行以外に
幕引きを買って出るやつが居ない
夜が来る前に
あの耐え難い怖れがこの身に寄り付く前に
数度、指を躍らせたが
意味の無いアルファベットの羅列が
液晶画面に踊っただけだった
いつか書けなくなるときが来るとしたら
迷わず誇りを持たなければならない
もっとずっと先に
もっとずっと暗い夜の手前に
誇り高く振り返ることが出来るだろうか?
すでに書かれてしまったものに血が通っている景色なんか見たことが無い
それはきっと俺がひとりで騒いでいるだけだから
燃え盛る業火とはもしかしたら
あそこに沈みかける夕日のような色をしているのだ
ふと目に止まる風景の中にもの言わぬ運命がある
もしもそれがまぼろしのようなものだったとしても
もしもそれがひとときのものだったとしても
焼きついて離れない永遠が在るのだ
求めるとは哀しいもんだね、だけど
一度浮かれてしまったものは取り消すことなんか出来ないんだぜ
キーボードは何度かもどかしげに軋んだ
あらゆる影の後ろに業火が消えてしまった後
一度死んだように最後の言葉を捜していた
途切れていても
くたばっていても
ピリオドをつけなきゃいけないものは確かにある
喉が酷く渇いていた
どうにかして
生き返る術を見つけなきゃならない








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