ばらばらに固まり、渦巻いて飛び散っていく  

















濡れた髑髏が歯の奥で嗤うような声が頭の片隅にいつも聞こえている、それは湿度を伴うものであり、受信後に生じる感情には生憎と名前が付け難い…蛇の這いずる音を集音装置で拾ったものをある程度の音量で聞いているようなものだと言えば少しは想像がつくだろうか?とはいえ、そんなイメージを促してみたところで、そしてそれが上手くいったところで、あるいはしくじったところで、どんな成果も得られるものではない、他者の内面に潜むものをこうだと誰かに定義してみせることにどんな意味がある?どんな意味もない―けれど、こういうものだと働きかけてみることには、もしかしたらある程度の意味はあるかもしれない、思えばそんな曖昧なものととことんつきあうために、俺はこんなものに手を付けたのではなかったか…いや、そこらの青二才がよく口にするような、コミュケーションツールとしての意図はまったくない、重箱の隅をつつくように探してみればもしかしたら欠片ぐらいは見つかるかもしれないが…俺は結局のところ、自分自身と話がしたいだけなのだ、様々な理由のために表出することがままならぬ俺自身と、心ゆくまで語り合いたいだけなのだ、俺は初め、書いている連中はみなそういうものだと思っていた、でもそこそこ沢山の似たものたちと話すうちに、意外とそういうものでもないのだということを知った、ただの虚栄心がために、やたらと奇抜な形態を次々と用いるだけのものもいたし、塵芥のようなものを他者に噛みつくことでまるで偉いもののように見せようとしているものもいた、もっとも、噛みついたところで生温い歯茎の感触が感じられるだけに過ぎなかったが―あるいは勉学としてそうしたものの心得があり、その技術を磨きたいというものもいた…そんなやつは泥団子でも磨いていればいいのにと個人的には思うのだが…あるいは純粋に、己の愛するものに近付きたい、あの人のように書きたいという純粋な憧れで書いているものもいた、ただたいていの場合、そうしたものは純粋であるだけに始末が悪かった、ともかく―理由はそれぞれ様々だということだ、俺はいくつか批判めいたことも口にしたが、こんなものはただの軽口に過ぎない、余計なことではあるが聞いてほしい、己の主張のために他者を利用するものは、やればやるほど自分を疎かにしてしまうものだ、ブランド物を全身に纏っている人間が、おおむね大した人間ではないのと同じことだ、表面的な目的は表面的な結果にしかならない、それはもちろん実力とは関係のない話だ―時折、ひとりの人間の中に数人の人格が潜んでいる、なんていう人間が話題に上るけれど、よく考えてみればあれはそんなに珍しいことではない、少なくとも俺にとっては、ただ、やつらにとってはそれは自分と別人の集合だけれど、俺にとってはいくつもの俺の集合なのだということだ、俺の場合は、基本的には三人の俺で動いている、動く俺と、見つめる俺と、考える俺だ、そいつらのそれぞれの筋道がきちんとまとめられたものになるために、こうした作業が必要になるわけだ、そいつらは日常の中ではまったく交わることがないからだ、それぞれが勝手にやっている、そのままではなにもかもがとっちらかってしまう、もしかしたら、とっちらかった結果が別人として存在してしまうということなのかもしれないな…特に考える俺はタチが悪い、終始何事かを考えている、時間軸すら飛び越えている、そんな無軌道なものの中から常に何かが生まれようともがいている、もしかしたらやつが一番忙しい俺なのかもしれないな、だけど、そうだぜ、考えることをきちんとやらないなら人間として生まれてくる必要すらないじゃないか?仕込まれた芸をこなして餌をもらうだけのサーカスの犬にはなりたくはない―もっともそういうやつらはやたらと褒めそやされたりするものだけど…まあどんな形であれ満足が得られているのなら、俺がとやかく言うことでもないけれどね―そう、これを読んでいるもの好きな連中は、決まってある種の速度を感じていることだろう、それは、俺の思考の速度だと捉えてもらって構わない、こうした連なりを描くとき、俺は考えることをしない、窓を開けて空気を入れ替えるだけだ、俺の中に日ごろ溜まっている思考の数々が、こうした機会を得て溢れ出してくる、それにある程度の筋道をつけてやっているだけなのさ―つまり俺がやっているのは思考の記録なんだ、もちろん全部は拾えない、現実世界である程度の集中でもって拾える限りのものだけ拾っているわけだ、地震の揺れを計測するアナログな機械のことを知っているか?揺れを感知すると針が動いて、針先についたペンが曲線を描くやつさ、ああしたものだと思ってくれればいい、つまりそう―俺自身の、揺れを、記録する―わりかし上手いこと言ってるな、俺、ちょっとした冗談みたいにも見えるし、リズムもいい、さあ、そろそろ通信を切るときだ、いつだって日常は鉄砲水のように慌ただしいからね―。











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