寄生虫の頭を捕まえて喉から引き摺り出す  














世界は水晶を透過したかのようにどこか輪郭を甘くして、副作用で冷えた俺の身体は冷蔵庫の果物みたいだ、生来的なペインに砕かれた午後の欠片、台所洗剤がバラす油のように居なくなる、ラジオで聞いたコクトー・ツインズの残響、緊急車両が交差点に突っ込むときの合図、テレビでは死者の数が表示されてる、そいつらはきっとウィルスが生まれなくても死んだだろう、荒く引いた胡椒が降り積もるような空虚、真っ白な画用紙に真っ白な絵具は、きっと…あらゆる空白はあらゆる過密と同じ、その証拠にどちらも呼吸不全を連れてくる、銀色の器具で体内を掻き回せ、穿たれた穴から害虫は這い出るとしたものさ、オシログラフには本当の死を語ることは出来ない、跳ねるラインを見て精霊は死神みたいにほくそ笑むだろう、そこに明かりがあろうとなかろうとあらゆるものは天井へ吸い込まれていく、神の掃除機には俺たちには分からないしきたりがあるだろう…三半規管に幼いころ失くしたチョコレートが紛れ込んでいる、幼馴染の思い出―永遠に歳を取ることのない―レントゲンに映らないのは当り前のことさ、潰れたガレージの部品、発掘されたかのような死に化粧、割れたカウルの―塗料なのか?とてつもなく赤い―ヴァイオリンのように軋んだブレーキの末路、文明はいつか悪臭に塗れて目を閉じるのさ…コール・ガールの人知れぬ青春は自動販売機の意味のない場所に充填されてヒートポンプで維持されてる、それだけは金を積んでも無駄だよ、それだけは―道端のポエトリーリーディング、唾とともにばら撒かれた詩文を踏み潰していく幾つもの足跡、その泥のついた靴底を凌駕するものをあいつはついに書くことが出来なかった、遺書はごく普通の文面だった、笑っちゃうね…命なんて要るんだか要らないんだか分からないとしたもんだよ、その認識がつまり、俺の人生のすべてということなんだろう、ブウ、と、短い罵声の真似事、強い精神の本質は曲線的であるかどうかさ、変わり続けなければなにも維持出来ない、そのものであり続けることは出来ない、現在位置を見つけ続けることだ―清潔な豚小屋のような繁華街、フレグランスな家畜たち、帽子にマスク、サングラスにイヤホン、外に居たって解放出来るものなんかひとつもないんだ、知らず知らずおぞましい悪霊にとり憑かれたままで居るのに、流行病は死ぬ程怖いってさ、タップしてアクセス出来る心のことしか理解出来ないんだろう、ファストフードは現代人の心までジャンクにしちまった、シェイク頂戴、マネキンみたいなお姉さん、プラスチックのカップには上手に隠されたごみ箱が良く似合うね…駅の構内から特急列車が踊り出す、妙な顔を車両一杯に書き殴った―見世物―この街の性格をよく表してる、黄砂が飛んでるってさ、どうりで何度も咳が出る、春ってこんなに薄汚れたもんだったかな?小さな公園のベンチで小休止、野良猫に餌をやるなと大仰過ぎる立看板、こいつを立てたのはもしかしたら、ここに最初に猫を捨てた誰かさんかもしれないぜ、誰だって自分の落度は躍起になって塗り潰そうとするものだ、無邪気な子供らが遊具で遊んでいる、連れて来た母親までが無邪気過ぎる、純粋な心は子育てには向かない、暢気な殺意がここいらじゃ充満してるっていうのにさ…公衆便所は煙草の臭いを換気出来ない、個室のスライドロックにまで染みついてる、昔ここで死体が見つかったことがある、もう知ってるやつはあまり居ないかもしれない…俺たちはひとつじゃない、自分のことすら記憶の彼方に追いやってしまうのに、余所事なんてそんなに覚えていられるわけがない、記憶は使い捨てられる現在、だからまた同じことを繰り返してしまうんじゃないのか?枯れた街路樹のそばで噴水がべらべら喋っている、捨てられた炭酸飲料の空缶が恨み言を閉じ込めている、空は夕焼けに染まり始めている、あの、水増した血のような赤の意味を教えて、本当の夜が訪れてしまう前に、俺は知らぬ間に足早になる、夜の中には子供の頃とは違う怖さが隠れている、生き続けようとするものほど臆病になる、銀行の時計が執拗に現在を主張している、メイン道路は一秒でも早く作業着を脱ぎたい連中のクラクションの交響曲だ、ただし、誰も音譜通りに鳴らすことは出来ない、カラスが思考を切り裂くように飛ぶ、街路に溢れる食いものを探しに行く時間なのだろう、愚かな生きものたちの始まりはこれからさ、そうとも、この車の列がすっかり、狭い駐車場でため息をついたらね…。









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