すぐに乾いてしまううた  








枯れた樹木が
腐って落ちるように
あなたは居なくなった
あしもとには
かさかさの
かけらが残るばかりで

死んだから永遠
なんて
わたしは
疼く血が好きだから
そんなもの
信じないのです

窓の外では
ぼんやりとした
雨が降っている
誰かが
嘘を放置しているのかもしれない
ふと
そんな気がして

噛みちぎった左手の小指の爪は役立たずのノコギリのよう

深夜ラジオのDJの声は甲高い、きっと
そうしていなければ自分の名前すら忘れてしまいそうで
怖いのだろう
シャツの袖が少しほつれているのを
気にしているうちに結構な時間が過ぎていた

子守唄がわりのアルバムは回転を終えた
わたしは長いため息を吐き終えた
夜は誰のどんな声も聞こえなくなったことに安堵して
ただただ黒雲と雨を垂れ流していた

思いを残せばうたのようでしょう
背中を向ければ映画のようでしょう
わたしは愚かな観客を気にして
本当の思いをどこかへなくすでしょう

点字ブロックの上で誰かが
要領を得ない不満を長々と話している
どうしてこんな時間に
世界はいったんすっかりと寝静まったのに
すべての生と死から
はぐれてしまったのでしょう
だからこそそうして
未練がましく、みじめで

昼間に淹れた珈琲の豆が
雨の音に混じって聞こえて来る
雨が降る夜にじっとしていると


世界には
雨しかないのだという気がして来る






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