ちょっとご無沙汰していた『串や はたけ』。
焼き鳥と串揚げの店です。
場所は『ユーロの台所 ルーチェ』の向かいにある、雑居ビルの1階。客引きの兄さんがうろついていて入りにくいと思っていた人もいたでしょうが、条例施行後は客引きがいなくなってスッキリ。
それほど高くもないし家族で楽しめるので、以前は良く行ってました。焼き鳥好きも串揚げ派もOK。串揚げは大阪式の『どぼんソース、2度漬けダメよ』。
『くしいち』が閉店してから串揚げは『田』に行くしかなかったが、この店を知ってからは『串や はたけ』で食べるようになった。
大阪から進出してきた店で、当初は大阪串揚げのコテコテソースだったのだが、試行錯誤して東京風のややあっさり目のソースになっている。品書きも豊富で、串揚げはいろいろと楽しめた。
だんだんと鶏関係のメニューが増えていき、素朴な旨味の鶏スープを使った小振りなラーメンを締めに食べるのが楽しみにもなった。



久しぶりに入ってみると、焼き物も揚げ物も以前より品書きが減っている。そのかわり全品150円の均一料金になっていた。
ゴロンとしたレバーは良い具合にシットリと仕上がっているし、ネギマもジューシー。炭で焼いた白ネギは香ばしくて美味しい。焼いたトマトとベーコンというのは、なんと相性がいいものなのだろう。しいたけも萎びたりせず、上手い具合に焼けている。塩加減もいい。
目を見開くほどとは言わないが、どれを頼んでも安心できる。
でも品書きが減っているのは、やはり寂しい。その旨伝えると、品書きはまた増やすつもりだと言う。材料があるものは品書きになくても作ってくれると言うので、『梅シソや柚子胡椒が食べたい。あれもこれも』と品書きに無い物を出してもらいました。
店長、均一料金じゃなくてもいいから、直ぐにでもメニューを増やそうよ。そのほうが、やはり楽しい。
串揚げも頼みたかったのだが、気になる新メニューがある。
『はたちゃん焼き』
この店は市ヶ谷に鶏ちゃん焼き(けいちゃんやき)の店も出している。鶏ちゃん焼きとは飛騨地方の郷土料理。ジンギスカン鍋に紙を敷いて、その上で鶏肉とキャベツを蒸し焼きにして食べたものだという。郷土料理と言っても、富士宮のヤキソバ同様、先祖代々食べ継がれてきた地方料理などではない。発祥となる食堂も知られている、昭和からのもの。
蒸し焼きにする際にタレをかけるのだが、味噌、醤油、塩など、店によって特色が出るという。味噌ダレとニンニク醤油ダレが主流らしい。
はたちゃん焼きは、その鶏ちゃん焼きの『串や はたけ』バージョンと言うものでしょう。

はたちゃん焼きを頼むと、まずコンロがテーブルに置かれます。そしてクッキングシートを敷いた天板に、山盛りのキャベツが乗ってくる。写真は2人前。
キャベツの中には半分火の通った鶏肉が入っているので、このまま火にかけると蒸し焼きの仕上げになると言う次第。
鶏肉とキャベツだけでは寂しいので、いろいろとトッピングを頼むことになる。
きのこ、ニンニクの芽、韓国もち、バター、中華麺、などなど。
暫らくするとジクジクと音がして野菜の水分と鶏肉の肉汁が出てくるので、タレを回しかけて仕上げに入る。

クッキングペパーが敷いてあるので直焼きにならず、天板に焦付いたりすることなく蒸し焼き状態になります。タレが飛び散ることもない。
タレをかけてから天地をひっくり返すようにかき混ぜたほうが、よく味が回ると思います。湯気が立ち昇るくらいになったら出来上がり。
湯気が出てるし、この日はデジカメを持っておらず携帯を使ったため写りが良くない。
なんか出来そこないのもんじゃ焼きのように見えてしまいますね。
たいしたことなさそうだと思うでしょ。
ところが、これが
ビックリするぐらい旨い!
出てきた水分には野菜と鶏の旨味が溶け出しているのですが、トッピングにバターを頼むとコクが加わるので絶対にお勧めします。この汁を絡めて蒸し焼きになった鶏を食べると、本当に驚きますよ。
適度な蒸し加減だとキャベツの甘味が出てくるので、最初のタレは塩を試してみてください。
キャベツとの相性がいいだけでなく、この塩ダレには感心しました。この塩ダレは市ヶ谷の店のものとも違い、『串や はたけ』独自のものだそうです。
鶏の旨味に非常に良く合う。辛味だけでなくほんのりとした甘味もあるタレになっているのは、果物、蜂蜜なんかも少量加えてあるんじゃなかろうか。胡麻油の香りも食欲をそそる。唐辛子でピリッとしたアクセントもついている。
そして何と言っても塩が違う。かなり旨味のある岩塩を使っている。あまりに旨味が濃いので、最初は化学調味料を加えているのかと思ったが、そんな平板な旨味じゃない。失礼ながら聞いてみたら、やはり化学調味料は使っていないという。
こりゃ、塩の力だろう。
味が深い。
もちろん旨い塩を使うだけでなく、他にもいろんな工夫があるのでしょう。でも『この塩ありき』のような気がします。鶏肉だってそこいらのブロイラーを使っている訳じゃないので元々美味しいんでしょうが、この塩ダレがないとこんなに旨くならないでしょう。
全部使わずに、少し飲んでみれば良かった。どうやって作るんだか知りたいぐらい。
出て来たときは『何だ?鶏の鉄板焼きか??』と小馬鹿にしていましたが、食べてみると大違い。蒸し焼き独特の弾力のある食感がいい。思いっきり油断しているところに、カウンターパンチをモロに喰らってしまいました。
単純といえば単純な料理です。それだけに、予想外に美味しいと感激してしまいます。
また今夜も食べたい。ビールがガンガン進んじゃうんだもの。
このおいしさで1人前580円+α は安いです。きのことバターのトッピングは必須ですが、どれも100円ぐらい。
こんな所に、こんな旨いものが隠れていたなんて。
もっともっと知られて良い料理だ。

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PS:トッピングに中華麺を頼むと、もしかしたら、鶏塩焼きソバになってしまうような気もします。

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