皆様、ご無沙汰でございます。
PCの調子が至極悪く、更新もままなりませんでした。
身辺にも色々とあり、お盆明けからは何となく忙しかった。
西葛西で食事を取ることもなく日々を過ごしていたので、昨日久しぶりに家族でソトメシにしようということになっんです。
ピッツェリア・サルバトーレ・クオモが中葛西にオープンと言うチラシが入っていた。実は以前から、近くに出来ないものかと思っていた店。
たまに家でピザのデリバリーを頼むことがあるけど、最近の既存チェーンのピザは酷い。ドミノからスタンダードなピザが影を潜めてからと言うもの、ピザーラにしてもピザハットにしても、無国籍ピザが幅をきかせている。元々デリバリーピザに大した期待はしていないものの、こうまでも変なものばかりメニューに載せられては頼むものがない。
それに比べてクオモのピッツァはスタンダードでまとも。やっと出来たのだから、早速行こうと言うことで家族の意見が一致。
でも、クオモはお預けになりました。ピッツァとスローフードについては書いてみたいこともあるのですが、それはまた後日。
ちなみにピザとピッツァは使い分けた方がいいと聞いたことがあるので、使い分けてみました。
とにかく、なぜ後回しになったのかと言うと、『串や はたけ』が昨日で閉めるという話を聞いてしまったから。
家族との待ち合わせの時間には早すぎたのでビールを飲んでいると、その店のマスターが『串や はたけも残念だねぇ』と言う。何のとこかと思ったら、急遽閉めることになったらしい。
『焼鳥大好き』がなくなってから、同じ場所で『串や はたけ』は頑張っていた。あのビルの入口は奥の方にあるため、キャバクラの客引きのお兄さん達の間をすり抜けて入らなければいけないというハンデがある。女性客は入りにくいし、良い印象も持てない。食べ物屋としては結構なハンデだと思う。
旨いものを出していれば客は来ると言うほど飲食業は甘くない。
このハンデは厳しかったでしょう。
いろいろな試行錯誤をしていた。
ご飯ものを増やしたり、均一料金にしてみたり。最後には、はたちゃん焼きを出してきた。
初めて
はたけのことを書いた時に少し触れましたが、このはたちゃん焼きの元は飛騨の鶏ちゃん焼き(けいちゃんやき)。鶏ちゃん焼きを出す店のうちのひとつが、フランチャイズとは違う方式で全国に鶏ちゃん焼きを広めようとし、『串や はたけ』のオーナーがそれに乗った。
『鶏ちゃん焼き』をネットで調べると『ねじべえ』と言う店が多数出てくるが、この『ねじべえ』と言う店舗群はフランチャイズではない。端的に言うと商標と営業ノウハウをパックにして販売していて、フランチャイズとは違い、ライセンス販売方式と言う。この2つの違いはいろいろあるのだけれど、食べる側には関係ないことが多いので省略。
その『ねじべえ』の市ヶ谷店が『串や はたけ』と同系列です。
そこで得たノウハウを元にしてアレンジしたのが『はたちゃん焼き』で、塩ダレには工夫が凝らされていて好きだった。
塩ダレをかけて蒸し上がるとこんな感じ。
色の濃い塩ダレですが、岩塩の旨味が効いていて美味しい。
旨味が濃いので、全部かけると味がかなり強くなる。半分もかければ充分で、そのくらいの方が鶏や野菜の味が活きていて旨い。
いろいろと書いても西葛西では食べられないし、既にレポートしたので詳細は要りませんよね。
『串や はたけ』の味の変遷を見ていて、色んなことを感じました。
初めは串揚げが主体の店だった。大阪の味そのままで勝負していたけれど、やはり東京の人に合わせたソースに変えた。大阪のドブ漬けソースそのものだと東京のお客さんの反応は今ひとつだった。
私なんかは大阪の味を前面に出してくれた方が差別化になると思ったし、大阪らしさを出してくれた方が嬉しかったのだが、商売とはそう簡単なものではないらしい。
徐々に焼鳥メニューが増えていき、鶏がらスープを活かした締めのラーメンなんかも好評だったが、串揚げ屋と言うよりも焼鳥屋の様相を呈してきた。
焼鳥屋はりそな銀行の横の通りに何軒かあるが、そもそも揚げ物が美味しかった店なので差別化になっているのかと思ったら、これまたそうでもなかったらしい。
やや中途半端な印象を持たれたのだろうか。
客層の拡大を狙ったのでしょう。客単価を下げることになっても、均一料金にして頼み易さを前面に出してきた。その分、品数を減らすことで仕入れ管理を強化したと言うところでしょう。
商売であるからには儲けないと話にならない。
儲ける為には、利幅を拡大するか、売上を伸ばす。仕入れを抑えるのも方法だし、逆に単価を上げておくと言う手もある。しかし、客数が増えないことにはパイは大きくならない。パイが増えないことには、努力に見合う効果が得られない。
そのために色々と試行錯誤していたと感じられた。
店側は商売のために努力するもので、そんなものが売りになるとは思っていない。
でも、私は『金取るんだからこのくらいのことしろよ』などというほど傲慢でもない。
地道な努力は客として正当に認めてあげるべきだと思っている。
もちろん『串や はたけ』だけが試行錯誤しているのではなく、他の店だってみんな生き残りをかけて頑張っている。一見やる気がなさそうな店だって、何かしら考えている。
あまたあるそんな店の中でも、考えているだけでなく、実際に美味しいものを出している店はそれほど多くない。
もちろん儲ける為には客が来なけりゃ話にならないから、とにかく美味しいもんを出そうと言う店だってあるかもしれない。それだっていい。店主の思考過程は客である私にとっては関係がない。
極端な話、店主がどんなに守銭奴でも性格が悪いやつでも、結果として不愉快な思いをすることなく美味しいものに出合えればそれで良い。
『串や はたけ』の店長はもちろん変な人ではなかった。
初期の頃の串揚げが好きだった。
店長が考えた、はたちゃん焼きの塩ダレは旨かった。
どれもこれも絶品と言うのは大袈裟だ。
それでも確かに美味しかったのだ。
家族で楽しく食べられる店がなくなってしまうのは寂しい。
そして飲食業とは難しいものだと再認識した。
店長、市ヶ谷の店に移ってからも頑張ってください。

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