「Poket Park Tokyo タイ風グリーンカレー」
カレー図鑑
こんな所にこんなカレーを出す店があったんだ!
全く期待していない状態で不意打ちを食らったのもあって、非常に驚いた。
夜中の12時近く。
寝る前にちょっと飲みたいと思い、バーのマスターに電話。
この日は12時に終わるはずなので、まだやっているか確認のつもりだった。
そしたらやたらと愛想良く、寄って下さいと言う。
店に行くとお客さんがまだ数人いたが、閉店と知っているのか帰り始めている。
カウンターでビールを飲みながらマッタリしていると、顔見知りの女性が入ってきた。
今まで仕事だったという彼女と他愛もない話をしているうちに、他のお客さんは全て帰った。
普段なら話に入ってくるはずのマスターはカウンターの向こう側で、何故か、にやけて話を聞いているだけ。
ピンと来て、マスターに話し掛けた。
私『どこかに行きますか』
マ『そうしましょう。軽く付き合ってください』
何のことはない、時間通り店を閉めてどこかに飲みに行こうとしていたらしい。
飛んで火に入る何とかになってしまったわけだ。
女性も明日は休みだと言うので、一緒に行くことになった。
3人で向かったのは、POKET PARK TOKYOと言うバー。
場所は
中葛西4−20−4。
西葛西の駅から島忠の通りを越えた辺りに、ポツンと店がある。
店に入るとマスターが暇そうに、1人でカウンターに座っていた。
バックバーにはビールと焼酎が主に並んでいる。
プロジェクターから映画を流している。
バーと言うよりは、若者が好みような酒場の雰囲気だが、チャラチャラした感じはない。
行く途中で、タイ風グリーンカレーがあると聞いていた。
そのときは『お腹一杯だから今日はいいよ』と言ったのだが、実は全く期待していなかったので、体良く断ろうとしていたのだ。
その辺で出されるタイカレーと言うものを、あまりリスペクトしていない。
ましてや西葛西の場末のバーが出すタイ風グリーンカレーなど、全く期待していない。
どうせ市販のグリーンカレーペーストをココナッツミルクで溶いただけの代物が出てくるに決まっている。ほとんどインスタント食品のような物だろう。
そう思っていた。
だから連れて行ってくれたバーのマスターがグリーンカレーを頼んだ時に、『俺はいいからね』と頼まずにいた。
不意打ちを食らう伏線はあった。
ベルギービールの世界は全く知らないが、サクランボのビールがあるのは聞いていた。
それを頼むとドラフトで出てきた。
泡がクリーミーに盛り上がっている。香りが良い。喉越しが素晴らしい。
フルーティーな感じの良く出た、美味しいビールだった。
聞いてみると、ドラフトで出している店は都内でもほとんどないと言う。
バックバーにはモルトが並んでいない。
『ただの飲み屋か』と思いながら眺めていると、ダバダ火振から始まっていろんな焼酎が置いてある。ビールもドイツ、ベルギー、オランダなど、各国のビールがあるようだ。
『ただの飲み屋』の訳がない。

出てきたグリーンカレー。
急に行ったのでデジカメがなく、綺麗に写真が撮れていない。
オレンジ色に見えますが、これは光の加減でそう写っているだけ。実際には、ほんのり緑がかった乳白色をしています。
何の期待もなかったけれど、『一口どうですか』と勧められて断るほど子供ではない。お裾分けの入った小さな椀を手前に引き寄せて、仰天した。
香りが違う。
ただのインスタントカレーではないのは明瞭。ペーストとココナッツミルクを使っただけでは、こうはならない。レモングラスも、バイマックル(こぶみかんの葉)もフレッシュを使っていないと、この香りは出ない。
フレッシュを使うこと自体はそんなに難しいことではない。今やネットでも買えるし、値段も高くない。香りの引き出し具合が問題なのだ。
甘味と塩味と旨味のバランスがいい。ココナッツミルクの甘味は適度に抑えてあって、塩味も引き立て役程度。ココナッツミルクは出汁のような位置付けも兼ねているので、それと水だけで作っても美味しいタイカレーはできる。
ところがここに何か旨味を加えている。そしてその旨味が突出していないので、全体の調和が心地良いのだ。
このタイ風グリーンカレーは、ただの飲み屋で出てくるようなものではない。
不意打ちを喰らって、慌ててしまった。
不意打ちを喰らったから、非常に美化してしまっている可能性は充分にあります。
既に飲んでいたので、舌がいい加減になっていたのかも知れない。
でも、そんな可能性を考えようとするのは、かなり旨かったからだ。
こんな所にこんなに美味しいカレーがあるはずがないと思いたいからだ。
『もう一度確かめに行かなきゃ』と言う理由をつけて、直ぐにでも再訪しようと思っている。
この店はバーと言うよりも、焼酎とビールの店だ。
何か別のビールをくれと言うと、『最近日本に入ってきたばかりで、都内ではウチにしか未だない』というドイツビールを出してくれた。
ビールは余り好きではないと言う同行の女性がいくつもグラスを空けていたのは、客の好みを巧みに聞いて好みに合うビールをチョイスできる、マスターの知識と品揃えのせいだと思った。
まだまだ良い店が隠れている。

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