急に寒くなってきました。
こうなると鍋が恋しくなる。温かい鍋を気が置けない仲間で囲むのは楽しい。
とは言うものの、私は基本的には鍋好きではない。
子供の頃のトラウマと言うほどではないのだけれど、冬になると家で出てきたごった煮風の寄せ鍋のイメージが強くて今ひとつ。食べればもちろん美味しいし、来て良かったと思うのだけれど、自分から行こうと言うことはない。
ダンディな友人に誘われて飲みに行った先で、錦糸町にメチャメチャ旨いちゃんこを出す寿司屋があるという話をする人がいた。
この友人も食うことが大好きで、蕎麦と寿司を語らせたら時間がいくらあっても足らない。語ると言っても薀蓄を語るわけじゃない。食って旨かった話、不味かった話、変な物が出てきた話、入ったらおかしな店だった話、期待してなかったけどそれを裏切って素晴らしかった店の話。
とにかく外食している。
予約するから3人で行こうという事になった。
当日、予約をしたという人が5時半に車で迎えに来てくれた。随分早いお迎えだと思ったら、渋滞を想定してのことだと言う。さらに2時間かけて酒を飲みながら鍋を食べて、その後バーに寄ってから別の場所で飲むと言う。既に3次会までセッティングされているのを聞いて、なるほど早くから行動しないといけない訳が分かった。
何時に帰れるんだろうか?(笑)
友人は助手席に乗っている。
『オレとponkoroをつれて寿司屋に行くだけでも無謀なのに、寿司屋で寿司食わずに鍋食わそうってんだから良い根性をしてるよな』などと無用なプレッシャーを与えて喜んでいる。
『本当に旨かったらギャフンと言ってやるよ』などと古いことを言う。
3人が、ああ言えばこう言う状態で、大笑いしているうちに店に着いた。

住所は
墨田区江東橋2−5−7。
錦糸町の南口から直ぐだ。
白木戸の入口が感じ良く、もしかしたら旨いんではないかと思わせる。(失礼!)
時間が早いこともあり、まだお客さんはいない。
この店は寿司屋だ。
店に入ると綺麗な白木のカウンターがあって、中から店主が迎えてくれる。
寿司は赤シャリの寿司だと言う。
私は赤酢の何たるかを詳しくは知らなかった。店の人によると『酒粕を密封した容器の中で3〜4年かけて熟成させると、白い酒粕が真っ赤になる。これと米酢を合わせて出来るのが赤酢。赤シャリはこの赤酢を使った酢飯だが、色は赤ではなく琥珀色。独特の風味がある』とのこと。

寿司屋でちゃんこ鍋が今日のお題だけれど、せっかくの寿司屋だから小肌とか刺身をつまみながら酒でも飲もうと思っていた。
ところが席に案内されたらテーブルの上にはテンコ盛りの材料。
これで2人前ですよ。
ジンギスカン鍋のような上げ底になっているわけでもなく、野菜と魚介が山盛りです。さらに肉団子が出てくる。
ツマミや寿司を食う余裕なんかありません。
ビールを頼んで早速ちゃんこです。

それでも何も頼まないのもなんだから、生牡蠣と焼き牡蠣を頼みました。
生牡蠣は良かったんですが、焼き牡蠣は今ひとつ。
火を通した貝は美味しいですが、一端火を通してから冷めると急速に味が落ちる。焼き牡蠣は焼きあがり直後ではなく、やや冷めていたのが非常に残念。
生牡蠣の美味しさからすると、温かいうちだったら旨かったはずなのに。
でもさすがに寿司屋ですね。
海鮮は結構いけるのではないかと思わせます。
牡蠣をアテにしてビールを飲み干した頃に鍋が出来上がる。
予約してくれたちゃんこ鍋は味噌味。
店の品書きによれば、最初に野菜を入れて食べ始め、いったん野菜を全部引上げてから魚介を入れると美味しいと書いてありました。
だけどね、あのテンコ盛りの中から野菜だけを引き出して入れるのは大変なのよ。特に白菜は山の中心に据えてあったから、他の具をテーブルに散らさないように引き出すのが面倒。
でも食い意地が張っているので、なんとかその通りに。
小鉢にすり胡麻を入れ、煮えてきた野菜を食べる。
味噌の良い香りに加えた胡麻の風味が食欲をそそる。
このピリ辛の味噌ダレは反則ですね。味噌味ですが、味噌が強いわけではないので、野菜の甘さが引き立つ。旨い鍋の良いところは野菜がどんどん食べられるところ。
椎茸もエノキも良かったですが、舞茸が美味しい。
クセのある韮も味噌味にクセが隠れて美味しく頂けます。
一通り野菜を食べてから魚介。
海鮮ちゃんこですが、渡り蟹なんかは出汁を出す為の物で別に食べなくても良い。
ハマグリも良かったですが、何と言っても旨いのはタラの切り身。
鍋に入れると身がスカスカになってしまうものがありますが、このタラは旨いです。シットリとした身には弾力があって、鍋の熱に負けずに旨味を発揮しています。
それにツミレ。このツミレも只者ではありません。ふわりとしたツミレの食感が堪らない。一緒に肉団子もついてくるのですが、生姜の効いた肉団子よりもこのツミレのほうが断然美味しい。
この魚介は寿司屋ならではですね。
もちろん普通のちゃんこ屋の魚介が安物だとか美味しくないと言っているのではありません。
何故この店は寿司屋なのに、寿司カウンターに一人も客が座っていないのか。入ってくる客みんなが鍋の方に行ってしまうのか。鍋屋の片隅に寿司バーのような物がある店に入ったことがあるが、あれとは違う。れっきとした寿司屋だから、具材が良い。鍋が旨い。
でも味噌味はやはり反則ですね。
味噌味は、味噌自体が旨いので、具材との相性が悪くなければ何でも旨く感じる。これだけのタラを味噌で食べるのは勿体無い。
塩味のちゃんこで食べてみたいです。
その方が魚介の旨さがより立ってくると思います。
とは言え、味噌味の海鮮ちゃんこが美味しかったのは事実。
私と友人はギャフンと言わされてしまいました。

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