寒くなってくると鍋だけでなく、温かい蕎麦も恋しくなる。
そばは暑かろうが、寒かろうが、せいろが一番。
そんな意見にも賛成する。やっぱり新蕎麦が出てから春まではせいろが旨いからね。
でも、秋から冬の温かい蕎麦も捨てがたい。
特に温かい太目の蕎麦に餡かけは良いですね。
以前豊川の
田舎蕎麦を食べた時に、秋になったら餡かけキノコ蕎麦にしたら旨いんではなかろうかと書いたことがある。
キノコっていうのは味が無い様で、美味く料理するとなかなか滋味深いもの。
エノキのシャクシャクした歯応えも良いし、ナメコのツルンとした食感も良い。
ブナシメジでも良いが、本シメジなんかは本当に美味しい。
舞茸なんか味が深いし香りも良い。
久しぶりに伺ったら、きのこそばがあるじゃないですか。
ちょっと寒い日だったので、思わず頼んでしまいました。
ナメコ、シメジ、それに舞茸が入っています。
舞茸の煮込み具合を間違いなければ、キノコ好きには堪らない組合せですね。
肝心の煮込み具合は、煮込み過ぎることもなく良い感じです。餡かけではありませんが、ナメコが入っているためにゆるくトロミがついている状態。
どう言う訳か、きのこ蕎麦は太目の蕎麦で餡かけが私の好み。ナメコのトロミがツユに移っているのは嬉しい。
キノコだけではアッサリし過ぎるからでしょうか、刻んだ揚げが入っていてコクをプラスしています。油でちょっとコクがでたツユはナメコのトロミで適度に蕎麦に絡みついてくる。
蕎麦を啜り込んでから、最後の一滴までツユを飲み干してしまいました。
キノコ好きのせいもありますが、美味しく頂きました。
ただ値段が気になるなぁ。950円だもの。
山で採れた傘の開いた大きなナメコとか、本シメジなんかが入ってりゃ別ですが、それは難しいですよね。山で採れた物を入れてくれなんて我儘を言う気はないのですが、もう1つ訴えてくる物が欲しい値段です。
郷土料理店に行くと、その土地で取れた魚や野菜、山菜やキノコなんかが出てきます。それをたださっと味付けしただけの物でも良い値段を取る所もあります。でもそういう所には、地元に帰る時間はないが地元の物が食べたいというニーズを抱えた客がやってくる。その客の為にわざわざ地元のものを取り揃えているから良い値段が取れる。
そういう特別なニーズを持たない一般客相手の場合は料理そのものが勝負で、そこから外れると良い値段を取り続けることは難しい。
蕎麦粉の値段はピンキリで、高いものは目の玉が飛び出るほど高い。
鰹節も本枯れ節の良いものはこれまた高い。
良いものを揃えようとすれば、客の我々が想像するよりも随分と原価の高いものになることもあると思います。
でも、良いものを揃えたから高いお金が取れるというものでもない。
どんなに良い粉を使っても、私が打った蕎麦ではお金を払ってくれる人はいないでしょう。
値段が気になると言っても、これが750円なら充分納得しているでしょうね。
たかだか200円の違いじゃないかとも思ったりもしますが、やっぱりもう1つ何かが欲しいなぁ。
ツユまで残さずに美味しく頂いた後で言うのもなんだけど。
期待してますよ、店主。

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