そもそも、たこ焼き、もんじゃ、お好み焼きのたぐいは、子供のおやつだった。子供のおやつを旨いまずいと言っても仕方がないと思うのだが、実際にマズイ店に当たることが多々ある。
と言うことは、逆の存在、美味しい店と言うのも存在するのしょう。
『京都きん屋』がその店であると断言できるほどではないが、西葛西で貴重な店であることは間違いない。お好み焼きが関西風ではなく、『京都風』だからだ。場所は
ここ。
いまさら店の説明をする必要もないだろうが、この店はお好み焼きを店側が焼いて出してくる。店内の各テーブルに鉄板はあるのだが、客がお好み焼きを自分で焼くためのものではなく、出てきた物の保温に使われる。
品書きにあるのは京都風お好み焼き。壱銭焼き、べた焼き、ねぎ焼き、などなど。
京都の野菜の代表格である九条ねぎをふんだんに使ったメニューは、京都出身者には嬉しく、京都を知らない人には興味深い。大阪や広島のお好み焼きとは全然違うスタイル。
壱銭焼きは祇園にある『
壱銭洋食』のパクリだ。壱銭洋食はお好み焼きの元祖と言われているけれど、私は全く別物だという見解を支持する。お好み焼きは小麦粉を溶いた汁の中に、具を混ぜ込んで焼き上げる。壱銭洋食は小麦粉を溶いた汁を焼いた皮で、具を包んだ食べ物である。何故『洋食』かと言うと、昔はソースを掛ける食べ物が全て西洋料理風と思われていたからです。子供のお小遣いで買える『西洋風』おやつ。それが壱銭洋食です。
壱銭洋食は祇園だけでなく、他の店でも食べることができる。京都人にとっては一般名詞です。しかし祇園の店が商標登録しているので、他の店は壱銭洋食とは呼べません。だからきん屋では壱銭焼き。
店主はモロに関西人ですな。人なつっこさがベタベタしててちょっと、と言う人もいるけれど、私は京都にいたことがあるので、店主と言うかおやじさんとは何故か話があったりする。
京都きん屋のおやじさんは祇園の店に通い詰め、壱銭洋食の味と製法をとことん盗んだそうです。祇園の壱銭洋食とまったく同じものではありませんが、同じである必要もない。ここは別の店なのだから。京都きん屋オリジナルとして充分美味しい。
京都のお好み焼きはモッタリとしていない。東京のお好み焼きはその点、愚鈍ですな。私は東京は下町の出だが、東京のお好み焼きは子供の時分から好きではない。京都では九条ねぎをふんだんに使うが、このねぎが美味いのよ。そしてスジ肉の煮込み。甘く煮込んだスジがアクセントになっていて飽きない。
家族連れでも楽しめるし、仲間と一杯飲みに行くのにもいい。カウンターがあるから一人でも大丈夫。
でもやはり大勢で行って、いろんな物を頼んでワイワイやるのがいいね。
しかし壱銭洋食は子供でも買える洋食だったのに、いつの間にこんな値段になっちゃったのだろう?

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