もうすぐクリスマスです。当然年末も近いです。
年末と言えば、アメ横と築地。
12月に入るとテレビでも雑誌でも、アメ横と築地の特集が増える。
本屋の店頭では築地食べ歩きみたいな本が急に増えます。
今朝は西葛西のバーで知り合った若者と
あんこうや高はしであんこう煮を食べに行った。
先日飲んでいる時に鍋の話になって、
紅梅寿司のちゃんこ鍋とともに高はしのあんこう煮の話題になった。若者はいまだ築地に行ったことがないし、鮟鱇鍋が食べたいと言う。
ならば、と9時に待ち合わせて築地にお出かけ。
築地に着くと、場外には既に人がたくさんいる。
場内に入り、まずは本屋に。
実は今日の目的は2つあって、1つはあんこう煮。もう1つはマグロの中卸の若旦那に会うこと。

場内で3代に渡ってマグロの中卸をしている
鈴与の若旦那が『
日本一うまい魚の食べ方』と言う本を書いた。
若旦那の生田さんは
ブログも書いていて、いつも楽しく拝見している。他にもいろんな活動をしていて、魚のプロの立場から子供の食育や食文化のあり方の見直しを呼びかけたりしている。
と言っても何も難しいことではなく、変な商業ベースに踊らされることなく、昔ながらの旨い魚の食い方を見直そうよという感じ。
その若旦那にサインをしてもらう為に本を買った。
まず本屋に行ったのは、どうせ買うなら河岸の本屋でと言うわけ。
本を買ってから場内に入り、一路鈴与へ向かう。
場内はプロの仕事場なので、素人としては邪魔にならないようにと10時前に伺った。
鈴与の店先には仕事をほぼ終えた若旦那の姿が。
初対面で失礼かとも思ったが、ここは魚河岸。モタモタ、モジモジするなんて似合わない。要件は端的にテキパキとしなきゃね。
目が合ったと同時に『サイン頂戴!』と本を差し出した。
途端にニッコリとしながらも、ちょっと照れる若旦那。
早速サインしていただき、初対面とは思えない気軽さでいろんな話も聞かせてもらった。

鈴与ではサクの小売はしていない。だからマグロを頂こうとするとブロックで貰うしかない。
この時期の生の本マグロはそりゃ、旨いです。
旨いですがブロックで買うほど太っ腹にはなれないので、帰りに場外でも覗こうかと思っていた。
そうしたら若旦那が、せっかくだからと冷凍のブロックから切り出して分けてくれると言う。
ありがたく4サクほど頂戴した。
もうちょっと綺麗に写真に出来れば良かったんだけど。
大きさが分かるようにタバコの箱を置きましたが、このサクが一番小さかった物。一番大きなサクはこの1.5倍位の厚みがある。これが4サクで5000円。
若旦那、有難うございました。
今日の目的が若旦那とあんこう煮だったので10時ごろ伺ったけど、この時間になると場内の店は片付け始める。
店先には旨そうな魚が並んでいて、ちょっと買っていこうかとも思った。
カミさんからも、煮付けにして美味しそうなのがあったら買って来てと言われていた。
そりゃ、旨そうな魚は沢山あるよ。築地だもの。
若旦那に勧められたナメタガレイも旨そうだった。
でも結局買わず。
実は魚の調理は完全にカミさんの領域で、私はほとんど自分で料理したことがない。やってみりゃ、なんとかなるのだろう。なんとかなるのだろうが、上手く捌けなかったらどうしようなんて考える。
別に人様に食べて頂く訳じゃないから、そんなこと気にする必要なんかないのにね。
さきのナメタガレイの煮付けは旨い。あんこうは言うに及ばず。
自分で料理しても、きっと美味いよ。
腕がある、なんて言うことじゃありません。
自分で作って、自分で食べるのは美味しいのさ。見栄えなんて関係ない。
キンキでも金目でも捌く気になりゃ捌けるさ。きっと・・・
まずはやる気だ!
今度築地に行ったら、魚買って自分で料理してみよ。
その後も場内をうろうろして、伊勢粂(いせくめ)で干ししゃもを買う。
伊勢粂は塩干魚を扱っている。
天日干し、無添加、無着色のししゃも。
これが旨いのよ。
天日で干して旨味を凝縮させたししゃもを軽く炙ってごらんなさい。
脂が乗っているので、火が通ると身の中で脂がジュクジュクと音を立てる。
香ばしい匂いが立ち込める。
軽く炙っただけでこの照り。
照りは染み出た脂です。まだ焦げ目もついていないのに、下に脂がポタポタ垂れるんです。もう少し焦げ目をつけて香ばしくするか、この程度で食べるかはお好み。
焼き上がる前からビールが欲しくて堪らない。
何尾でも食べられちゃいます。ビールも進むこと進むこと。
普段は小魚や干物があまり好きでない次男坊が、一口食べさせた途端に『これは旨い』とまた手を出した。
肉好きの子供にも手を伸ばさせる伊勢粂の干ししゃも。
伊勢粂は市場で一番高いししゃもを買い続け、セリで負けたことがないそうな。
魚はその時々によって値が変わる。必ずしも良いものだから高いと言う訳でもない。
入荷が少なければそれだけで値が跳ね上りもする。
でも高い物を買い続けるということは、それだけ品揃えに信念を持っていることの現われでもあるんです。
干ししゃもは産卵前の脂が乗ったものじゃないと旨くない。
如何に脂の乗ったししゃもであるかは、写真の通り。
だから河に登る前のししゃもで作るのだが、今ではそれを作る業者も少なくなってきていると親父さんから聞いた。
魚をとって、天日で干す。
これだけで、こんなに旨くなる。調味料なんて要りません。
工場で作ったそこいらの珍味なんて、とてもじゃないけど敵わない。
天日干しは時間がかかるし手間もかかる。温風乾燥させた方が効率は良いのは素人でも分かる。効率が良ければ安くなるのも分かります。
でもこの旨さを知ってしまったら、また天日干しを買い求めてしまう。
高いと言ったってべらぼうな値段じゃないんだから。
それだけに業者の人は大変だろうと思う。
たいして高くも売れないものに手間隙かける。
趣味で作っているわけじゃない。商売だから、仕事だから、きちんと生活していけるだけの収入にしなくてはいけない。
こういう業者の人が、経済効率という名の下に淘汰されていってしまうのは寂しい。
多少高くても私は買いますよ。
買える値段だもの。
だって美味しいもの。
これからも作り続けて欲しいと思います。

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PS:もう1つのお目当てのあんこう煮は、あまりの行列に断念いたしました。
danchuの築地特集に載っている店は軒並み激混みでした。
メディアの力は凄いよ。

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