前回に引き続き築地ネタ。
土曜日の築地の混み様は、やっぱり雑誌の影響だったんですね。
マスメディア恐るべし。
先週の土曜日はあまりに人が多くて、場内も場外も歩くのが疲れるくらい。
必要な買い物だけ済ませて、愛養で珈琲でも飲んで人が引くのも待ってても良かった。
愛養は珈琲・紅茶・ミルクとトーストしかない店だが、これがまた河岸特有の店で面白い。
築地で働いている人達からすれば別に面白くもないのだろうが、街中の喫茶店にはないシステムが成り立っている。
お客さんみんなが忙しい、且つせっかちな人達だからだろう。
珈琲がすぐ出てくるのは当り前なのだが、トーストの頼み方が面白い。
我儘がきくのだ。
パンの厚さ。
焼く焼かない。よく焼く、浅く焼く。
耳を落とす、落とさない。
切る切らない。3つに切る、4つ切り、6つ切り。
バターを塗る、ジャムを塗る、マーマレードを塗る。半分バターで、残りはジャム。etc.......
これらの組合せは一体何通りになるのか?
街なかにはこんなに我儘のきく喫茶店はない。お仕着せのトーストが出てくるものだ。
そんな店を同行の若者に見せてもよかったのだが、若い人は腹が減る。
ここはきつねやのホルモンでも突付きながら、ちょこっとビールを飲んで行こうということになった。

場外に出ても人は増える一方。
人が増えていても、買い物をしている人はほとんどいないのが不思議。
みんな冷やかし。
そんな人垣を踏み越えて辿り着いた、場外のきつねやの前。
なんと黒山の人だかり。
年末とは言え、きつねやにの前にこんなに人がいるのは初めて見た。
何で並んでないんだ?と思ったら、ここもまたみんな冷やかしだった。冷やかしなら冷やかしらしく覗いたらスッと退いてくれないと、お客が並べないじゃないの。
数人並んでいる後尾にくっついたら、この列が見る見る伸びていく。
こんなに行列する店だったかなぁ。
しかも行列が伸びるのは良いんだけど、隣の店先でもお構い無しに並んで店の前を塞いでいく。
これじゃ、隣も迷惑だよ。ちゃんとトグロを巻かないと。
みんな大人なんだから、周りに気を使いましょうね。
並んでいる横を通り過ぎる人たちが、口々に『あっ!もつ煮込みはこの店なんだぁ』なんて言っている。この辺で確信しましたね。
これは絶対金曜日のテレビか、最近の雑誌で特集しちゃったんだと言う事を。
築地で店を構えているのだから人が集まってくるのは良いことなのでしょうが、あまりに観光地化するのもどうなんでしょうか。
商売人が仕入れに来る街だから、飲食店の接客も水産物店の接客もプロ仕様だ。
心地良い接客とかサービスを売りにする場所ではない。
テキパキと要件を済ませるようにすることが、築地では最良の接客になるのではないかと思う。遊びに来ている人相手ではなく、仕事に来ている人相手だからね。
そういう場所だから、それなりのルールが出来上がっている。
一般人を排除しているなんてことは全くないのだが、テーマパークではないので、その場所に来る一般人もそのルールに従っていないと迷惑になる。
でも、別段難しい決まり事があるわけではない。
迷惑にならないようにすれば良いだけのこと。
当たり前と言えば、当り前のことですよね。
待つこと数分で出てきたホルモン煮。
2種類のモツとコンニャクを味噌ダレで煮込んだだけ。
乗せたネギの白と味噌ダレの茶色がいいコントラストでしょ。
これに七味をパッパッと振りかける。
当然ビールは必需品。
午前中からホルモン煮をツマミに道端でビール。
こりゃ、堪らんですよ。
もちろんモツの臭みなんか微塵もありません。
長時間煮こぼして、味噌の味が染み込んだモツはフルフルした食感も心地良い。
2種類のモツはそれぞれ歯応えが違っている。ネギのシャクシャクした歯応えも加わって食べ飽きない。
そもそもの赤味噌の旨味、モツから出る滋味深い味。全てが渾然一体となって、もう止まりません。
あっという間に食べ終えてしまった。
混んでいる日だから、ビールケースをひっくり返したテーブルを長いこと占拠している訳にもいかず、そそくさと店を後にする。
この店はホルモン煮を丼飯にぶっ掛けたホルモン丼も出している。
これをガツガツと掻き込むと、なんとも言えない充実した満腹感でいっぱいになる。
それに、このご時世でも絶えずに牛丼も出している。
肉豆腐なんて言うものもあって、これもまたホッとする美味しさ。
ご飯物も良いんだけど、私の中ではビールのツマミに最適なホルモン煮だと思っている。なので、ご飯を食べにしょっちゅう伺うことはない。
私にとっては、たまにビールを飲みに寄る店。
記事のカテゴリを『たまに行く』にしたのはその為です。
でも、寄るたびに旨いと唸る店。
年の瀬に築地に買い物に行く機会があったら、是非覗いてみてください。
美味しいですよ。

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