最近、まったくと言っていいほど西葛西で飯を食っていない。
行きたいところは色々あるのに。
アンフルールのランチも食べたいし、タイイサンのタイカレーで汗もかきたい。
洋食のナカジマや和食の咲亭にも行きたい。
寿司食いに葛西にも行かなきゃ。
と言いながらモタモタしているうちに春になりそうです。
冬の食材ももう終わり。そろそろ食べ収めですね。
蕎麦を食べるときは大概せいろにするのですが、冬には冬の美味しい蕎麦があります。そのひとつが牡蠣そば。
いわな屋で食べた牡蠣そばの牡蠣は、牡蠣を蕎麦つゆで煮て火を入れた感じ。身もプリプリの大振りで牡蠣特有の旨味が濃かった。牡蠣の旨味に負けないようにか、かけ汁はかなり濃い口醤油の効いた関東のうどんつゆのよう。
銀座
明月庵田中屋の牡蠣天ぷら蕎麦は、文字通り牡蠣を天ぷらにしてある。温かい蕎麦のかけ汁は甘汁と言うが、この蕎麦の甘汁はみりんや砂糖を抑えてあるのでスッキリしている。
カミさんと菩提寺に用足しに出かけ時に牡蠣蕎麦が食べたくなり、ふと思い出したのが上野藪そば。
場所は上野のマルイシティの裏。
この店は神田藪そばの最初の暖簾分けで現在は3代目。
店主の鵜飼良平氏は蕎麦打ちの著作も多く、いろいろな所で指導もしている。2階席の小上がりの横に打ち場があり、手打ちを見ることが出来るます。
山手線の高架を挟んでアメ横があるため、中休み無しですがいつ入ってもお客は多い。

まずはビール。
そば味噌でビールを飲んでいると、程なくして蕎麦が出される。
牡蠣は焼き色が付くか付かないかぐらいに軽く炙ってある。使っているのは三陸の牡蠣。炙ってプクッと膨れた牡蠣をネギと一緒に蕎麦つゆで煮ているかもしれない。煮ていると言ってもネギが半生になる程度の短時間。
そう思えるのは蕎麦つゆに牡蠣の旨味が溶け込んでいるからです。実際は煮ることなく炙った牡蠣を蕎麦の上に置いて甘汁をかけているだけかも知れない。
それだけでこれほどの旨味がつゆに移りこむかどうかは知らないが、他の種物の甘汁と同じつゆのはずなのに、旨味に厚みがあります。
つゆの色からして他の種物と違っている。
そのために濃厚な牡蠣の旨さと出汁の効いた蕎麦つゆが、ぶつかることなく上手に調和している。シャキッとした歯ごたえが残るネギは甘みを感じられる程度にほんのりと暖まっており、アクセントになって味を引き締めている。
この店のせいろは腰の立ったキリリとした蕎麦を出してくれるのに、温かい蕎麦は私には腰がなく感じる。だから本来は好きなタイプの蕎麦ではない。
しかしこの牡蠣そばの様に種物と蕎麦が一体となったものを出されると、そんなことはどうでも良くなってしまう。
寒い冬場に食べるからこそ、暖かい牡蠣そばは美味しい。
年中食べられる厚岸の牡蠣を使えばいつでも出来るのかも知れないが、暖かくなってからでは魅力は半減すると言うもの。
今のうちに食べておきたいですね。

今のうちと言えばもうひとつ。
あられ蕎麦です。
あられは小柱を空から降る霰(あられ)に見立てたもの。小柱とは寿司ネタにもなっている青柳の貝柱です。やはり旨いのは冬。
その小柱を海苔の上に乗っけて三つ葉を添えるのがあられ蕎麦。
歯切れの良い小柱の淡い甘み、かすかにつゆに溶け出す旨味、それと食べていくうちにつゆに混ざっていく海苔。ほのかに磯の香りがするあられ蕎麦は、牡蠣そばとはまた違った冬の蕎麦です。

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