築地に買出しに行ったついでに昼飯。
と言うか、最近は昼飯のついでに買出しするようなもの。
必要だったものは豆だったのだが、築地に行くと魚が買いたくなる。豆を買ったついでに家用に釣りキンメを買ってしまった。小売で買うと、どうしても高くつく。
浅田水産に行けば質の良い魚が比較的安く手に入るのだが、早い時間に行かなくては選びようがなくなる。良い魚はすぐに売れてしまう。この日のように10時過ぎに築地に着いたのでは遅い。
やむなく場外の某店で釣りキンメを買ったのだが、やや大き目とはいえ、これが高い。
一尾2500円。
箱買いすればもっと安くなるのだが、当然そんなことは出来ない。いくら家族が多いといってもそんなには食べない。たまの楽しみと言うことで自分を納得させた。
ちょっと贅沢しすぎ。相場が高いときに買うもんじゃないな。
旨い魚が食べたかったので高はしへ直行。
高はしは決して安くないけど、その時々の旬の魚でも良いものが食べられる。日々のランチで使うには贅沢な値段。だから以前は昼飯時を除いて店先に人が並ぶなんてことはなかった。ところが最近はいつでも10人ぐらい人が並んでいる。
この日も家族連れも含めて行列が出来ていた。
昔から築地にある店はたくさん客が来て儲かればそれで良いという姿勢で仕事をしている訳ではない。日々買出しに来る人や市場で働いている人との長い付き合いの中で糧を得ている。
だから昨今の築地ブームで一見さんが増えるのは有難いことではあるが、困ったことでもあるのだろう。晴れの日も雨の日も長年足を運んでくれている常連さんが入れなくなってしまうからだ。
築地ブームが未来永劫続く保証などない。だから常連さんの足が遠のいてしまうのは店にとって痛手だ。
高はしの店先にお願いという名の注意書きが張り出されるようになっていた。
『奥の席は常連様用の予約席になっていることもあるので、ご了承下さい』
常連さんはサッサと食べてサッサと出て行く。話をしながら長居をすることはない。築地自体が忙しい人の多い場所だし、営業時間も限られているのだから、如何に回転良く回していけるかは店にとって死活問題だ。
その意味でもプロの常連さんはありがたい存在なのだろうと思う。
私が買う魚の値段と高はしの仕入れの値段に開きがあるのは当然だが、その開きは思ったほど大きい訳ではない。普通の飲食店のように原価率3割で品書きを作っているわけじゃない。そんなことをすればべらぼうな値段になってしまう。
行列店になっても、笑が止まらないほど儲かっているかどうかは別物だ。
この辺の事情があるのだから、常連用に席を空けておくのは真っ当な区別というものだ。なのに店の引き戸を開けるなり、『3人なんだけど、何で奥の席は何で使わせてくれないの?随分待ってるんだけど』と不満顔の一見さんも多くいる。
この日も実際に2組ほど出くわした。
丁寧な張り紙まで出してあるのだから、察してあげて欲しいものだ。
店側は決して差別などするつもりでいる訳じゃないのだから。
常連も一見も、分け隔てなく接したいがための区別というものです。
この日に食べたノドグロの煮つけ。
ノドグロは赤ムツのことで、赤い色をした魚ですが口の中が黒いのでノドグロと呼ばれます。煮付けにすると兎に角美味しい。もちろん塩焼きにしても旨い。
日本海側ではものすごい高級魚として扱われる。干物ですらオカズではなくて料理の扱いを受けるほど。こちらではそれほどではないものの、高級魚であるのは変わりない。
このノドグロの煮つけを定食で頼んで2200円でした。
これなら下手に素人が場外で買って家で食べるよりも安い。
そして当然、魚の質は良い。
2200円という値段だけを見ると高い食事のようだが、同じようなものを自宅で食べようとしても同じ値段では食べられない。そして料理屋で食べようとしたら凄い値段でしか食べられない。
これは安いのだ。
でもこんな値段じゃ、高過ぎて美味しい魚なんか食べられないじゃないかって?
そんなことはないんですよね。その時々の旬の魚を食べれば安くて旨い。
だいたい旬の時期っていうのは、大量に獲れる。だから値も下がってくるのが普通。
去年は夏場から秋刀魚が獲れ過ぎて、文字通り捨てるほどの水揚げがあった。だから太って脂の乗った秋刀魚が安かったですよ。一尾100円ですもの。
そのときの旬の魚の移り変わりが見られるのは築地に行く楽しみだ。
今頃は貝が美味しくなってくる。蛍烏賊だって今が一番安いし、丸々と太っている。酢味噌で食べてもいいし、生姜醤油でも旨い。
日々買うぶんには西葛西にはマルサンがあるので便利。
この店はいろんな魚を入れているので結構珍しい魚がある。全部が切り身になっていたり、メジャーな魚しかないような店ではないので楽しめる。
それに日々の食事では有名産地の魚じゃなくても美味しいのだ。時季をはずした有名産地の魚なんてそれほど旨いもんじゃない。
ブランド志向は損をする。
今回私の買い物が高かったのは地キンメの、しかも釣り物を買ったから。
こんなものはプロ仕様で、普通の人は買わない。せっかく築地に行ったのだから西葛西では買えない良いものを買ってみようと、相場も見ずに贅沢をした結果です。
まさに素人の買い物。
まぁ、これも楽しみの一つなんですけどね。

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