GW前の平日の午前中、時間があったので買い物に行ってきた。
さすがに土曜日ほどの混雑じゃないけれど、それでも人はいっぱいだ。
しかし中途半端ないっぱいさ加減が大変困る。
大混雑の日にはさすがにすれ違うのもやっとだからそんなことはないのだが、中途半端に混んでるから並んで歩ける。並んで歩かれると、ただでさえ狭い通路を思いっきり塞がれる。
若者が築地のような場所に来て、旬の魚や様々な商売に触れるというのは良い事だ。スーパーの魚売り場にはないようなものがたくさんあるから、そりゃ珍しいし楽しい。養殖と天然の魚の値段がどれほど違うか実感するのも為になるよね。
でも通路の真ん中でお手々つないで立ち止まるのは勘弁してほしいです。まったく通れなくなっちゃうのよね。
おばちゃん3人組が前に歩いていると、かなりの確率で困ってしまう。
後ろの私に追い越されまいとして歩いているのだが、脇の店先も気になって仕方がない。追い越されるのはなんか嫌だけど横の店も気になるとばかりに、振り返り振り返り数珠繋ぎ状態になってゆっくり歩く。そんなに気になるんだったら道の横に立ち止まればいいのに。
別に競争してるわけじゃないんだからさ。
俺に追い越されるのがそんなに癪なんだろうか。
もちろん私だって当てもなくフラフラと歩いていることは良くある。
売り子のお兄さんに『これどうやって食べると旨いの?』なんてさんざん聞きながら結局買わなかったり。あっちの店とこっちの店で値段が違うかどうか確かめるために行き来したり。
これが案外楽しいから、ふらりと訪れたりする。
でも買い物が決まっているときは事情が違う。
良いものかどうかの目利きは出来ないが、気に入ったものを出来るならば安く買いたくなるのは人情だ。それで決まった店を2〜3軒回ることになるが、目をつけていたものが買われてしまうと困るので早足で歩き回ることになる。
そんな時に堂々と道を塞がれると、やはり腹が立ちますな。
比較的空いているときほど、通路の真ん中で井戸端会議を始める人達がいる。
気持ちは分かるけどね。
もう少し端っこでお願いしますよ。
取り敢えず買うものを買って、さあ飯を食おうと場内へ。
何度も書いているけれど、最近の築地場内は尋常じゃない。
寿司屋は言うに及ばず、ほとんどの店で行列です。
高はし、八千代はもちろんのこと、天房、小田保、ふぢのも並んでいる。
平日の昼前だから、もう少ししたらサラリーマンの方々もやってくる。
とてもじゃないが待ってられないので、そそくさと退散して場外に戻りました。

場外の喧騒から少し外れた
路地裏にある黒川へ。
この辺りまで来ると、場外の混雑が嘘のよう。
昼前でもあるし、行列はない。
早速、入店。
この店は狭い。4人がけテーブルが2つとカウンター5席。1人で入るとカウンターに通されるのだが、このカウンター席がまた狭い。先客には男女1組と女性の1人客。
その間を割って座ったが、隣に触れるのを気遣いながらの食事になる。
天麩羅屋と寿司屋では好んでカウンターに座るが、この店だけはテーブルにしたいと行く度に思う。
でもいつも1人だからカウンターになっちゃうんです。
カウンターの中には未だ若く見える店主が1人。
何を聞いてもぶっきらぼうに答える店主だが、偏屈なわけではない。
ただお喋りではないと言うだけだ。
頼んだのは特製天丼。
この天丼が一番高くて2000円。
この店の昼のコースは2000円から。次々に揚げてくれる天麩羅の最後にはミニかき揚げ丼が付いてくる。そのコースと同じ値段なのだ。
この店の中では高く感じてしまうが、普通のまともな天麩羅屋と比較したらそれでも安いです。
ランチの天丼は900円からある。穴子の天丼でも1300円。
かなりお得な価格設定。特製天丼だけが飛び抜けて高い。
もちろんこの普通のランチ天丼の値段で活けの車えびなんかは使えないが、それは値段相応ということ。それでも充分満足できます。
この店を特徴づけるのは野菜の天麩羅。野菜天丼もランチにはある。
あるお客さんに野菜の味が今ひとつだと言われたのをきっかけにして、千葉の契約農家から送ってもらっているそうだ。有機栽培の野菜が届くのだが、その時々に穫れた野菜を送ってもらうため、開いて見るまで何が入っているのか分からない。
この日も宅配便が届いて店主が開けていたが、『今回はほとんどの野菜が天麩羅にはできねぇ』とぼやいていた。
野菜は大根など一部を除いて、ほとんどの野菜を工夫して揚げている。
トマトだって揚げる。噛むと熱々の汁が飛び出すので注意しなくてはいけないが、かなり人気のある品になっている。
この日の特製天丼の中にも旨い野菜の天麩羅が入っていた。
生姜の天麩羅。
千切りした生姜を海苔を巻いてまとめて天麩羅にしてある。
この生姜の天麩羅の旨いこと。
もともと天ツユにはほとんどと言って良いほど甘みがない。だから口がくどくなったり重さを感じたりすることなく食べられる天丼なのだが、それでも口は天麩羅とツユの味に麻痺してくるもの。だから食べ進んでいくうちに出てくる生姜の天麩羅が味覚をリフレッシュしてくれると、次に食べる天麩羅の持味が活きてくる。
程好い辛さをもった生姜なので、口が辛すぎて食べられないなんていうことはない。ほんのり辛いという程度で、噛んでいるうちにむしろ甘みさえ感じる。
この生姜の天麩羅をエビの下に隠してあるところがミソ。
最初から生姜に箸をつけることがない様にとの計算だろう。
最初から食べてしまうと生姜の天麩羅の良さが引き立たないし、次の天麩羅のためのリフレッシュという役目を果たせない。途中で食べることで生姜の天麩羅自体も、次に食べる天種も、両方が活きてくる。
これだけで大満足です。
ランチで2000円は少しきつい価格かもしれませんが、900円の天丼だって手は抜いていない。普段利用するときはこちらで充分。
野菜天丼もかなり旨いです。
でも本当は、天麩羅をツマミにビールが飲みたいんですよね。
野菜6種に、才巻えび、穴子、小鮎なんかが出てきて、夜は3000円のコースだもの。最後のご飯まで含めれば、割安だと言うのもわかるでしょ。
これでエビスをキュ〜ッと飲んだら最高ですよ。

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