あいも変らずカレーを作っております。
その参考になればと始めたカレー屋巡りも同様に続いております。
昨日はいつもの築地通いの帰り道に、新川のデリーに寄ってきました。
本店とは違うとは言え、デリーですからあえて写真も撮らずカレーを楽しんだだけ。
デリーのカレーは美味しい。あのカレーは唯一無二のカレーですね。
サラサラのルーのカレーの草分け。今から50年も前にあのカレーを作り、店で売り始めたと言うのがスゴイ。
当時は戦後の混乱から社会がやっと落ち着いて復興し始めた頃。
サンフランシスコ講和条約によって日本が国際世界に復帰し、自衛隊が発足したばかりの頃だ。兵隊帰りの人達が食べてたカレーは、小麦粉を炒めたモッタリ日本カレーだった。その中にいきなりインド風カレーを持ち込んだというところがスゴイ。
今日まで続けてきた裏には、いろいろとご苦労があったのでしょうね。
新川のデリーは、その本店で長いこと働いてきた店主が独立した店。
店主が働き始めた頃のレシピで『デリーのカレー』と作っていると言うのがウリ。確かに若干の違いがあるようですが、デリーのカレーであることは間違いない。
そして本店と若干違うような気がすると言っても、それは本店に劣るという意味では全くない。
その新川デリーでインドカレーを食べました。
カシミールもいいんですが、私にはちょっと辛い。
久しぶりにデリーのインドカレーを食べましたが、やはりウスターソースの風味ですね。私はデリーのカレーを食べると、いつも途中でウスターソースを飲んでいるような気になる。
基本的に使う香辛料がいわゆるインドのカレーとウスターソースではほとんど同じで配合と副材料が違うだけなので、特にニンジンをジュース状にして仕上げるデリーのカレーがウスターソースと似た風味を持つのは当然と言えば当然のこと。
デリーのカレーは美味しいのだが、この点が私のストライクゾーンのど真ん中だと言えない理由。
そこを修正してど真ん中カレーを作るために試行錯誤しているのだが、最近のお気に入りはココナッツミルクを使うこと。
ココナッツミルクには独特の風味と甘みがあるが、使い方によっては全体の味に深みを与えたりコクを感じさせたりする。
ココナッツミルクを使った南インドカレーを2種類作った。
これはほぼ現地のレシピに近い作り方で作ったので、かなりココナッツミルクが効いています。
カリフラワー、ナス、ズッキーニ、オクラを使った野菜カレーとチキンカレーなのだが、使うスパイスとココナッツミルクの量が違うので、見た目は似ていても味わいは異なる。
この手のカレーっを自分で作って食べるといつも思うのだが、やはり普通の日本人にはやや無理があるのではないか。そして自分もその普通の日本人に含まれているのだと思う。
現地レシピの場合、やはり日本の米のモチモチ感は邪魔になるかな。
そして旨いことは旨いのだが、スパイスの妙を楽しむことに慣れていない日本人にとっては、食材からの旨味が単調に感じられてしまう。
その一番の理由はなんと言っても、副食材に欠けることだ。
北でも南でも、チキンカレーだけを単品で食べることはないのではないか。
少なくともチャトニはある。チャツネと言い換えてもいいのだが、日本でイメージする甘いフルーツチャツネとは別物。それに南インドではラッサムやサンバルといったスープと一緒に食べるのが通常だ。そのスープとチキンカレーを混ぜ合わせたりして、味を変化させて楽しむものだ。
チキンカレーだけ食べると言うのは、松花堂弁当を食べるはずなのに2つの仕切りには手をつけず、メインとなる焼き物だけでご飯を食べるようなものだ。それだけでは飽きてしまうとは言わないが、刺身や八寸で口先を変えてこそ焼き物の味も活きると言うもの。
チャトニなどの付け合せのようなものがあれば良いのだが、そこまで家庭で作るのは余程のインド料理マニア。普通のカレー好きには無理がある。
そうなるといろいろな副食材と一緒になっている弁当ではなくて、単体で完結する丼物の様な食べ物にしないといけない。
そんなに頭の固いものの言い方をする必要はないのだが、要するにその一皿だけで日本人として満足できるカレーが食べたいのですよ。
その点でデリーのカレーは良く出来たカレーだと思うわけです。
50年間愛され続けてきたカレーだから私ごときがアレンジできるものなどないのだが、私の好みに合わせることができたならばどんなに嬉しいことか。
引き続きいろんなカレーを食べ歩いて、自分の好みにピタッと合ったカレーが作れるようになりたいものだ。

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