私は基本的にフランチャイズやチェーン店には興味がありません。
こういう店には美味しい物がないとは言いませんし、採るに足らないとも言いません。
私はインドカレー派だけれど、西葛西北口にある
ふらんす亭のカレーだって美味しいと思いますよ。
しかしフランチャイズやチェーン店はお客を足切りしません。
たまたまそこを通った人も含めて、すべての人を受け入れます。すべての人に好かれる味や料理など存在しないはずなのに、すべての人を受け入れようとします。
当然、出店に当たってはターゲットである客層を想定しています。想定はしていますが、ターゲットではなかった客でも全て笑顔で受け入れようとする。
これが興味を持てない理由です。
極端に言えば、腹が減った時にそこにあれば済む店です。
酒を飲む場合は、もっと顕著です。
BARと言う業態は不思議な業態です。
飲食業のなかでも、ターゲットは非常に限定されている。
ご飯を食べたい人。
酒が好きではない人。
子供連れ または子供。
これらの人は来て貰わなくていいと思っている。
酒が好きな人のうち、いま酒を飲みたいと思っている人しか対象にしていない。
夜8時に西葛西駅前を歩いている人のうち、上の3種の人を除くとターゲットになりえる人の数は随分と減るのではないでしょうか。
そしてさらに、多くのBARでは5人〜10人で大騒ぎするような人たちも来て欲しいとは思っていないでしょう。いっぺんに売上のあがる一団を対象から外している。
酒は飲むつもりだけど、お気に入りの店の女性を相手に、と言う人も対象ではない。一晩に2〜3万円も使う人たちなのに。
BARは万人を受け入れようとする業態ではありません。
しかし儲からなくていいと思っているわけでもありません。当然、いろいろな努力をしています。
店主が来て欲しいと思う客層に対して、魅力ある店作りをしています。
そうでなくては客は来ません。ただでさえ客の足切りラインを高く設定しているのですから。
酒は何を売り物にするのか。ワイン?バーボン?モルト?カクテル?
どんな酒をメインにするのか。オフィシャル?レア物?それとも廉価物?
BGMのジャンルは何にするのか。クラシック?ジャズ?ソウル?
接客はどんなスタイルなのか。話好き?寡黙?べらんめぇ?おねぇ系?
そもそもオーセンティックにするの?それともフランク?
店主の考える魅力ある店作りが、私にとって居心地のいいものであった場合、この店はわざわざ足を運ぶ店になる。
決して、酒が飲みたい時に目の前にあったから入ると言う店ではありません。
たまたま目に付いたから入ってみようかと思うことはあります。でも、感性が合わなければ、その店には二度と行かないことが多い。
たまたま、バッチリ合っちゃう時もあります。そういう店に来る他のお客も、私と似たような感覚を持っているはずです。顔見知りになって話をすれば、それなりに話が合うかも知れない。そしてそうなれば、その店はもっと楽しい店になる。
店主の意思が明確であること。BARはこれに尽きるのではないでしょうか。
客を足切りするが故に、店主の思い描く魅力が重要になってくる。
チェーン店にはこれがありません。
あってはなりません。マニュアル通りじゃないと。
だから、つまらない。
葛西・西葛西にもいくつかBARがあります。若者が多いところも、そうでない所もある。
当然、私のお気に入りもある。
でもお勧めかどうかわからない。雰囲気が合うかどうかわかりませんから。
客が店を品定めし、店主も客を足切りする。どちらかのハードルが高いと、そこには通うことにならない。
だからこそ、通う人は多少高くても来るのでしょう。居心地がいいのですから。
この良さを体感したら、ただの居酒屋なんかで時間潰せませんよ。
みんなが、それぞれの場所を見つけられると良いですね。
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