築地通いの楽しみは昼飯。
もちろん場内や場外で買い物をしたり、良い魚を見たり、野菜や魚にまつわる話を聞くのは楽しい。そして場外の穴場的な店で昼飯を食うのもいい。
でも築地から少し離れれば東銀座だ。
銀座の真ん中よりも東銀座、特に歌舞伎座辺りには美味しい店が多い。
新橋方面に行ってもたいした距離じゃない。
築地から西葛西まで帰る途中に寄り道する感覚なら、茅場町あたりはすぐだ。
そして自転車なら八重洲も近いのです。

東京駅近くにある明治製菓の
ビルの脇にあるダバインディア。南インド料理を出す店として最近メディアの露出が多いですね。
久しぶりの訪問。
この日に築地で買ったものは、鶏がら3キロ、大山地鶏モモ肉4枚、7:3の牛豚合挽き1キロ、時鮭4枚、40センチほどの活け締の鯛(これがなんと1000円)。
今年は余り見かけていないトコブシがあったので買いたかったのだが、重量オーバーで断念。
これ以上は自転車に乗らない。(T.T)
保冷袋には保冷材や氷が入っているので、これだけでもかなりの重さです。
それを両手に持って入店。
店内は幻想的なマハラジャの町『ジョドプール』をイメージしたらしいのだけど、そんな町は知らないからよく分からない。
週末なので平日のランチメニューとは違うのですが、この店に来たらやはりミールス。
ミールスとは南インドの定食ですね。
私は現地に行ったことがないので、日本で食べられるミールスしか知らない。
要するにいろんなカレーがセットになったワンプレート・ランチです。
最近でこそ南インド料理店が増えてきたが、以前はほとんどなかった。
インド料理=北インド料理だった。
カシューナッツや乳製品を使った、リッチなカレーが多かった。
リッチと言っても日本のカレーのように小麦粉を炒めたりしないので、食べたあとに胃にもたれる感じはない。
これに対して米を食べる南インドのカレーはアッサリとした印象のものが多い。
特にサンバルやラッサムなんかは米との相性が良いだけでなく、他のカレーと混ぜることで好みの味わいに変化させることが出来て楽しい。
写真は左から豆と野菜のスープのような、よく日本人にとっての味噌汁のような存在と評されるサンバル。
酸味の効いたラッサム。
トウモロコシと野菜のポリヤル。スパイス炒めですね。
ココナッツ風味のエビカレー。
黒胡椒の効いたチキンカレー。
サンバルの左側で、バナナの葉の上に直接乗っているのはトマトチャトニ。
バスマティ米の上に乗っているのはプーリ。油で揚げてプックリと膨れている。
エビカレーの奥にチョコッと見えるのはパパド。
まずはサンバルから。
優しい豆の味わいが活きている。これだけ飲んでも美味しいが、パパドを細かく割り砕いてバスマティ米にふりかけの様にかけ、それと一緒に食べるともっと旨い。
ラッサムは酸味の効いたスープ。
タマリンドというマメ科の植物の果肉を湯で溶くと、酸味の効いたエキスが取れる。この酸っぱい液体はインドだけでなく、東南アジアで広く調味液として利用されます。
湯島のデリーでは、初代社長がタマリンドの代わりに梅干を使ったなんていう話があった。
ダバインディアのラッサムは香菜(パクチー)が効いていると感じるときがある。単体で飲んでも胃がスッキリとする感じでよろしいが、サンバルとともに米に混ぜて食べるとまた美味しい。
ポリヤルはトウモロコシの甘みがあって、辛いカレーの口直しとしても良い。
エビのカレーは前回とは違う。この日のカレーはココナッツの風味が強く香菜が効いている。
前回はタマリンドの酸味が前面に出た感じのカレーだった。
アラカルトにはマドラス風とゴア風の2種類があるからその違いかと思ったら、そうでもないらしい。案外とブレがあるのかもしれない。
チキンカレーはシェフの自信作のようで、チリペパーではなくブラックペッパーの効いたもの。
骨付き肉が煮込まれたカレーで、骨の味も出ていてなかなか美味しい。
チリのホットな感じではなく胡椒と生姜の辛さなので、頭のテッペンから汗が噴出すような辛さとは違う。最近の暑さには丁度良い。

こちらはベジミールス、ベジタリアン用。
ベジには、ホリデーミールスにはついてなかったカードがついてくる。
カードと言うのはヨーグルトで、写真の中の器に入った白いもの。ダヒとも言うが、違いがあるのかどうかは知らない。
このヨーグルトも他のカレーと混ぜて食べてもいい。
基本的にベジタリアン用のミールスにはあまり辛い物は入らないが、これを混ぜると味がマイルドになる。ヨーグルトによっては酸味が強調される。
このへんは店によって違いがあるので、少しずつ混ぜながら自分の好みの味にして食べるのがミールスの楽しさだ。
でもカードはノンベジであるホリデーミールスにも欲しい。
言えば追加してくれるのだろうか。
聞いてみればよかった。
油を多用しないので、全般的に非常にアッサリした印象。
適度な辛味と酸味があるので、暑い夏に食べるのにはぴったりだ。
日本人でも日常食として食べられるカレーセット。
この日、南インド料理初体験のウチの次男坊も美味しいと言ってご飯とサンバルをお代わりしている。
ちなみにホリデーミールスでは、ご飯、サンバル、ラッサムはお代わり自由。
私は2回お代わりしてしまい、晩飯は不要だった。
逆に言えばそのくらい抑え気味に作られている。
ラッサムはもっと酸味も黒胡椒も効いていたほうが好きだし、カレーリーフの香も強調して欲しい。全体的に過剰なスパイス感を出さないように気を使っているという印象だった。

個人的には物足りなさも感じる部分はあるのだが、このドーサと言う南インド特有の軽食なんかもいろんな種類を揃えているのは嬉しいことだ。
ドーサは米と豆の粉を混ぜて発酵させてクレープのように焼いたものなのだが、中にサモサの具のようなマサラを入れて巻いてある。
中の具は他にもいろいろとあって、そのときの気分でチョイスできる。
ちなみにフルサイズだと結構大きい。
幅10センチ、長さ50センチと言うところ。
以前はこんなものを気軽に食べることは出来なかった。
インドの食文化に関する本を読んだ時などに想像するのだけれど、実物を見たことなどないので妄想が膨らむだけ。東京のインド料理店はバブルが弾けてからの方が充実してきていると感じる。
特に南インド料理が食べられるようになってきた昨今は、選択肢も随分と拡がってきた。
宮廷料理やパンジャブ料理だけでなく、やっと広大なインド亜大陸の一部を感じながらインド料理を食べることが出来る感じだ。
南インド料理は油脂の使用が軽いし、スパイスも米に合った使い方をする。
酸味と甘味の使い方は日本人にも受入れ易いものだ。
ただしこの店に限ったことではないが、ミールスを食べようとすると高くつく。
店内でアラカルトの値段と比較するとミールスのほうが割安に感じるのだけれど、アラカルトの値段自体が高めだ。
チキンカレー1200円。味噌汁的国民食のサンバルが単品だと1100円。
この価格は随分と強気ですな。
1200円のチキンカレーと1800円のホリデーミールス。
私にとってはやはりミールスの店だ。
その方がアラカルトより楽しめる。
その分だけ多少高くても満足できる。
毎日食べるわけではなく、たまに食べる贅沢だからOK。
梅雨が明けて、かなり暑い日が続いている。
こんなときにはカレーが食べたい。
日本の米を美味しく食べさせてくれるカレーも捨てがたいのだが、インディカ米をさっぱりと食べさせてくれる南インドのカレーも好い。
家庭料理の延長なのだが、それはそれで食べ飽きない料理と言うこと。
結構クセになります。

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