西葛西駅前の通りを南へ。江戸川球場を超え、第七葛西小学校前を過ぎてから左折。小川の流れる道を西に向かった最初の角に大きな看板があります。住所は
西葛西8-9-7。
店に入ると、右手前にテーブル席。奥に小上がり。
壁には酒のつまみの品書きが貼ってある。
安っぽい感じもするが、普通の街中の鰻屋さんです。
夜に伺ったことはないが、昼時は結構混んでいたりする。
小上がりで本を片手にうな重を待つ。
別に注文を受けてから鰻を捌くどこぞの有名店ではないので、待つといっても大したことはない。でも鰻屋の場合、この『待つ』って言う時間がいいですね。タレの焼けた鰻屋独特の香ばしい香りに包まれていると、もう胃袋全体が鰻を待ち焦がれている感じになる。
はし本の鰻は、ふっくらと言うよりは
柔らかく焼き上げられた感じの鰻。
ご飯も柔らかめです。鰻に限らず丼物のご飯は固めの方が好きなのだが、べたついている訳ではないし、鰻との相性はOKです。
タレも駄々甘いものではなく、充分美味しいです。
歩いていける範囲でこれだけの鰻を出してくれる店があるのだから、文句ありません。
鰻好きの中でも、ふっくら派とシッカリ派がいますね。
東麻布の
野田岩や南千住の尾花のような、ふっくらと仕上げられた鰻が好きな人は多い。いわゆる名店と言われている所は、この手の鰻が多いです。
かたや銀座の
ひょうたん屋のようにシッカリと焼く鰻。ひょうたん屋の場合は蒸しを入れないので他のシッカリ派とはまた違った蒲焼ですがね。築地の
丸静なんかもこの部類でしょうか。この手の鰻屋には結構固定客がいます。
要するに油の落ちたふっくら仕上げと、油の乗ったシッカリ仕上げです。
ふと、鰻が食べたくなる時なんかには、ふっくらとした上品な鰻に舌鼓を打ちたいですな。
何か疲れてるなぁ、と言うときはひょうたん屋まで出かけてシッカリと油の乗った鰻が食べたい。
要するに、私はどちらでも美味しく頂けるわけです。
はし本はふっくら派に近いです。変な鰻屋に入るとふっくら派のようでヘタっていたり、シッカリ派のようで焦げて固くなっているだけだったりする。
はし本の鰻は柔らかではありますが、決してヘタっているわけではないですよ。丁寧に蒸してあると思います。頬張ると、柔らかい鰻とご飯が一体となって、何とも言えぬ良い感じ。
街場の店とは言え、鰻を割き、蒸し、何度もタレをつけて焼き上げるのですから、そこそこの値段はします。
スーパーに行けば、中国の工場で量産された蒲焼がパックに入って売っている。大振りで肉厚の蒲焼が安く買えます。そのまま温めただけじゃ、まるでゴムのように厚い皮を箸で裂くことが出来ないので、日本酒で蒸したりもしました。
しかし、やっぱり、どうしたって、当たり前ですが、鰻屋の鰻にはかなわない。まったく別物ですよ。たかだか数百円を惜しんで、スーパーの鰻で我慢することが理解できません。夜中に鰻が食べたくなったら話は別ですが、普通の時間帯ならば、西葛西の人は『はし本』に行ったほうがいい。
1000円余計に払うだけで、真っ当な鰻を楽しむ時間を手に入れることが出来ます。
なんと言ったって、住宅街という閉じられた空間で長年商売を続けていると言うことは、地元住民に長年支持されていることの証です。
駅前のようにブラリと新規の客が来ることなど期待できないのですから。
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