
最近、個人的に定食屋がハヤリです。
先日紹介した
弁富も定食屋ですが、
豆元の斜め向かいにある糸義もたまに寄ります。
入り口のガラスいっぱいに書いてある『朝飯、定食、酒』の文字。
あまりにベタな定食屋なので、普通の人は逆に入り難いかも知れないですね。
正確な営業時間は知らないが、朝から晩まで開いている。
朝飯も食えるし、昼時をはずしても大丈夫。
『あの店は500円も出せば味噌汁つきで朝飯が食えるから出勤前にたまに寄る』と言う人がいた。
いつでも飯が食えると言うのはありがたいものだ。
だからこの店はドライバー御用達だ。
弁富とはちょっと違う感じの店。

壁には品書きの貼り紙がズラ〜と並んでいる。
大鏡に写る反対側も貼り紙だらけ。
これだけ品書きがあると、入ってからオーダーするまでしばらく迷う。
それでも店の人は急がせないから大丈夫。
と言うよりも、放って置かれていると言う方が正確かな。
各テーブルにはポットが置いてあって、勝手にお茶をいれる。もう何年も海水浴に行ってないが、海の家ってこんな感じじゃなかったか。
自分で注いだほうじ茶をすすりながら、さて何を食べようかと貼り紙を見回す。
冷奴が315円で黒豚角煮が420円。
どっちが割高なのか割安なのか良くわかんないです。
焼魚は、さけ、さば、あこう鯛、さんま、ほっけ、といろいろある。
フライ物も、アジ、イカ、メンチ、コロッケ、チキン。
マグロフライなんてのもある。
もちろんチャーハンや親子丼もある。
何を頼んで良いのか分からなくなるくらいの品数なのだが、結局マグロ刺身定食にしてしまった。
ここは定食屋。
私は街場の定食屋で生本マグロを期待するほど野暮じゃない。
そんなものが食べたければ高い寿司屋か料理屋に行く。
冷凍マグロを使う定食屋でも、マグロのサクの戻し方で腕の差が出るものだ。
やや水っぽく感じる時もあるにはあるが、大抵は上手く戻してある。
なんと言っても刺身の量が多いのが嬉しい。
薄っぺらな刺身がヒラヒラと4〜5枚なんていう店があるが、糸義はしっかりと食べさせてくれる。
このくらいの刺身じゃないと、ご飯が余っちゃう。
定食屋のご飯は量がありますから。
安くて旨いのが定食屋の良いところ。そのために時間をはずしてしまうと作り置きの味噌汁が出てきたとしても仕方がないとは思う。
でもこの店は中途半端な時間に行っても作りたての味噌汁だ。
美味しい味噌汁を出してくれると、それだけでご飯が食べられちゃうのが日本人だね。
糸義という名前の定食屋はもう一軒ある。
場所は葛西市場の
管理棟の中。
管理棟は現在内装工事中で、店には裏の勝手口から入らないといけない。
どこから入って良いのか分かりにくいが、工事が終わるまでは仕方がない。
市場の食堂なので朝から開いている。
中休みがあるが夕方から深夜までも営業しているのは、近くのトラックターミナルのドライバー御用達だからだ。
そして昼近くに行っても、焼魚や玉子焼きをツマミにビールを飲んでいる人達がいる。
市場で働いている人達にとって昼飯時は、一般人の仕事帰りの夕方と同じ感覚なのだ。
北葛西の糸義と関係があるのかと思って聞いてみたが、言葉少なに無関係だと言う。
でもこれだけ近くにあって、しかも同じ名前の店なのだから、本当は何らかの関係があるのだと思うのだけれど突っ込んでは聞かなかった。
この日のランチの焼魚は塩サバ、新サンマ、ホッケ、ブリ。
煮付けはアコウ鯛、子持ちカレイ。
これらの定食も、生姜焼きやミックスフライ定食もみんな750円。
定食屋としては、まぁまぁの値段ですかね。
でもご飯がやはり丼なので、写真で見るよりもボリュームがあるんですよ。
付け合せの大根の煮付けは味が染みてて美味しい。
人によってはクタクタに煮込み過ぎだと感じると思いますが、このくらいの味付けの方が定食屋らしくてホッとする。
ここもいろんな品書きがあって迷うのだが、だいたいのものが750円で定食になっている。
しかしこの店に行かれたら、入り口(今は勝手口から入るので店の奥に見えますが)の貼り紙に注目してください。
『朝定 シラス大根定食 350円』
『朝定 納豆定食 生卵付 350円』
この店の売りです。
シラス大根は単品で頼むと300円。これに50円足すと、なんと味噌汁にお新香、それに丼ご飯が出てくる。
納豆定食も生卵に大根の煮付け、お新香、味噌汁と丼ご飯。
朝の定食としては充分です。
もちろん目玉焼き定食なんてのもある。
しかもランチタイムになっても、午前中ならば朝定を出してくれる。
朝定は10時まで、なんて決まりごとはない。
ダメモトで『まだ朝定頼める?』とニッコリ問いかければ大丈夫だ。
このへんが嬉しいですね。
この日のサンマはイマイチだった。
イマイチと言ったって不味かったと言うわけじゃない。
身は脂が乗ってて美味しかったですよ。
ただ肝にサンマの鱗が入ってた。
サンマの肝の苦みとまわりの脂の甘みは、焼サンマを食べるときの楽しみの一つ。
だけど鱗が入っていると口に当たって食べにくい。
内臓なんか食べなくても良いじゃないかというのは寂しい意見で、サンマの肝と脂の旨さと言ったらサンマの身自体よりも好きな人がいるくらいです。
それが食べにくいと言うのは、焼サンマの旨さが半減してしまう。
この点がイマイチだったわけだが、それはサンマが鱗を飲んでいたからなんです。
これは築地の中卸の若旦那の受け売りなのだが、サンマは時期によって漁法が違う。
巻き網漁のサンマは、大量に海中から引き上げる際にサンマ同士が擦れ合って鱗が剥げ落ちる。
その剥げ落ちた鱗を、引き上げられているサンマが飲んじゃうんですね。
だから内臓に鱗が溜まってしまう事がある。
初めて勇気を出して肝を食べたときにこれに当たってしまうと悲劇だ。
もう二度とサンマの肝なんか食べたくないと思ってしまうらしい。
でもね、サンマの出盛りの時期にもう一度だけチャレンジしてください。
巻き網漁でなければ、鱗を飲んでいることはありませんから。
飲み物のお勧めがウーロンハイじゃなくてお茶ハイだったりする定食屋ですが、土曜日の昼前に家を出て市場の隣にある場外を冷やかし、こういう店で昼飯を喰うのもなかなか楽しい。
両方とも西葛西の駅からはちょっと距離がありますが、北と南にある2つの糸義。
たまにはこんな店も悪くないですよ。

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