午前中の早い時間に、と言っても9時前なのだけれど、家を出て築地に向かう。
買いたいものがあったのだが、目的は買い物じゃなくて昼飯になってた。
だって前日の晩飯はセーブしているし、朝もまだ食べてないから腹ペコなんです。
買い物に来たんじゃなかったのかと言われるのは承知で、築地に着いて直ぐに目指す店に。

向かったのは築地場内の小田保。
小田保はとんかつ屋なのか洋食屋なのか。
外に出ている暖簾はトンカツだけど、この店でトンカツを頼む人は少ない。ほとんどの人がフライかバターソテーを頼んでいるような気がする。
それに場所柄魚メニューは欠かせないから、アジのたたきなんかもある。
だから定食屋と言った方が良いのかな。
この店のフライにしてもバターソテーにしても、『賞賛に値する』なんていうようなハイカラな感じじゃない。
普通のフライやソテーに見える。
値段だって別に安くなんかない。
でも、旨いんです。
普段着の店のなかでは、私の中でかなりランクが高い。
値段について言えば、築地場内の店は安くて旨いものを出す店が幅を利かせているわけじゃない。
綺麗な内装や飾り盛りなどの余分なものは何もないけど、それなりの材料をそれなりの値段で出す店が多い。
つまり決して激安じゃないと言うこと。
小田保だって、大概の定食は1000〜1200円する。
値段だけ見りゃ、西葛西で昼飯を食った方がずっと安い。
西葛西で食べた方が安いのは分かっているんですが、700円で適当に済ますわけには行かない。だって気がついてしまったんですよ。
今シーズン、まだカキフライを食べていないことを。
だから500円高くても、それなりのカキフライが食べたかったんです。
なんてったって、今シーズン最初のカキフライだもの。
はずす訳には行かない。
絶対はずせないとなればそれなりの値段は覚悟する。
でも2000円も3000円も払いたくない。
だって、たかがカキフライですよ。
だから銀座には行かない。
ここは普段着の中でもランクの高い店でしょう、と言うことで小田保に来たのでした。
撮影した方向が良くないので、何のフライか分かりませんね。
でもカキフライなんです。
それも大振りの。
この店が好きな理由のひとつは自家製が多いこと。
ドレッシング、マヨネーズ、タルタル、全て自家製です。
レモンの裏にちょこっと隠れているポテトサラダなんか、変にぽってりとしている。
それもそのはずで、ケチャップを少し入れた自家製マヨネーズがたっぷりと和えてある。
もともと河岸の人を相手にしているせいか、基本的に具はデカイ。
牡蠣にしても海老にしても、基本的に大きい。
私は大きけりゃ良いとも思わないが、大きい方が満足感があるのは事実。
魚河岸の台所として機能している場内の店は、品薄のときでも普段通りに食材を手に入れることが出来ると聞く。日々付き合いのある相手がプロなのだから、一般の飲食店よりも得だと言うこともあるのでしょうが、長年の取引の中で醸成されたお互いの信頼感の賜物なのでしょう。
『あの店に卸したものは旨くやっつけてくれるさ』、『あの中卸はキチンと選って(よって)届けてくれるよ』と言う信頼感。
だから値段に見合ったものに必ずありつける。
はずす事はないんです。
今シーズン初のカキフライ。
旨かったです。
牡蠣がプリップリッです。
最高にジューシー。
そしてコロモがサックサク。
小田保のコロモには牛乳が入っている。
ふんわりとした食感にするために、卵に牛乳を加えている。
それで具を包むコロモの生地が柔らかいんです。
外側のパン粉はバリバリに立っているが、食感はバリバリじゃない。
揚がったパン粉はサックサク。
それは揚げ油はラードだけだから。他の油は使わない。
だから揚げたてはサックリサクサク。
ラードで揚げると欠点がある。
それは時間が経つとベッタリすること。
そのため持ち帰りには向かない。
でもそんなことは関係ない。
だってその場で食べちゃうんだから。
小田保のカキフライのコロモは薄め。
同じ場内でも豊ちゃんのコロモは厚め。
私はカキフライには薄めのコロモが好き。
タルタルソースも良いが、ウスターソースを一垂らしして食べるのも良い。
ちょこっとだけ醤油をつけるのも良い。
どっちにしても調味料の類は少しにすべきだ。
だって牡蠣そのものから美味しいジュースが出てくるのだから。
そのジュースが引き立つを思う食べ方をすれば、もうこれ以上ない口福ですな。
おかみさん、ご馳走様でした。
今年の最初のカキフライも美味しく頂きました。
寒くなってくると牡蠣が旨味を増す。
牡蠣が旨くなると冬の足音を感じる。
これからの季節は旨いものが押し寄せてきます。
嬉しい季節がやってきましたよ。

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