関東では初夏の魚と言われるイサキ。
涼しくなり始めた今の時期からは脂が落ち、身がパサついて旨くないと言われます。
ところが九州などに行くと年中獲れる魚。
今の流通事情からすれば当然築地にも入ってくる。
だから元々は旬のはっきりした魚だと言われていたのに一年中見かけるようになった。
江戸の昔では下品な魚とか貧乏人しか食べないとか言われていたらしい。
鯖と同じく自己消化が早く腐り易いためにそう言われていたようです。
塩焼きが一般的だが、型も鮮度も良い脂の乗ったものを刺身にすると非常に旨い。
変な養殖の鯛なんかより断然美味しい。
現代の流通事情と冷蔵技術の恩恵に与る楽しみだ。
どうしても夏の魚のイメージが抜けないのだが、いい大きさのものが売っていたので刺身にしてみた。
脂の乗っているイサキだと薄作りがいい。
イサキの薄作りは鯛に決して引けをとりません。
しかし下ろしてみるとやはり脂が少なそうだった。
なので平作りにしました。
脂が乗っているわけでもないし、はなから旬を外れていると思い込んでいるのであまり期待していなかった。
ところがどっこい、ずいぶんと旨いんですよ。
そう言えば冬場の外房で獲れるイサキは鮨ネタとしても使われるんだった。
なんで夏が旬だと刷り込まれているのだろう。
これだけ刺身が美味しいのならまた買ってみようとかと思う。
初夏のイサキならば洗いにしても美味しい。
夏場の脂の乗っているものならば皮をつけたままにしてバーナーで皮目を炙るのもよい。炙った皮目に脂が薄っすらと浮いてくる。皮が破れ易くなってしまうので上手く包丁を入れるのが難しいが、出来上がった刺身は甘い脂が口に広がる格別のものになる。
皮目を炙らずに熱湯で霜降りする松皮作りでも旨い。熱い湯をかけられて縮んだ皮と身の間の脂が美味しいんです。
アジと同じようにナメロウにしてもまた美味しい。
これらは生のまま魚を美味しく食べるという日本人ならではの料理法です。
いい魚であればどんな食べ方をしても美味しい。
しかしもっと美味しくなるようにと貪欲に知恵を働かせた先人には感心する。
脂の乗り方、魚の大きさによってそれぞれ美味しく食べられる違った料理法を考えている。
この時季のイサキでは洗いや炙りでないほうがいい。
今回は平作りにしたのが良かった。
適度な脂と旨味が楽しめた。
洗いや薄作りではこれほど旨くはなかったと思う。
この時季にイサキなど食べたことがなかった。初夏のイサキと寒イサキの端境期のように思い込んでいたが、なかなかどうして作り方によっては美味しく食べられる。
もちろん魚自体が良かったと言うことが大きいのです。
状態が良くない魚ではこう美味しく食べることは出来なかったでしょう。
流通が発達した現代だからこそ、これだけ楽しめたのですね。
江戸時代だったとしたら、やはり下品な魚だと思ってしまったかもしれません。

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