『よしみ』のとんかつは旨い!!
あれだけ美味しいとんかつを揚げる職人がこんな所にいるのかと驚きました。
場所は西葛西一丁目。船堀街道と葛西橋通りの交差点を北に。最初の交差点(ガソリンスタンドあり)を左折して直進。西葛西から船堀に向かうバスの路線です。西葛西駅からは遠い。
住所は
西葛西1-9-10。
店は普通の街場のとんかつ屋さんといった佇まい。カウンター7〜8席と小上がり。夜に行くと小上がりには、仕事帰りの作業員といった風情の方々が揚げ物つまみに飲んでいたりする。雑然としている印象もあるけど、小汚いわけではありません。普通のとんかつ屋さん。
お皿の上に足つきの網を敷いて、その上にとんかつを乗せて出される。油切れが悪いわけではありません。とんかつに対する愛情が感じられる嬉しい心遣いです。
もちろん衣はさくさく、中はしっとり。
特筆すべきなのはその衣で、肉にピッタリと張り付いて剥がれない。肉が縮んで旨味が逃げたりしていない証拠です。
衣と肉の間に隙間が出来ているとんかつって、意外に多く見ます。
肉は加熱調理する間に膨張したり収縮したりしています。肉汁が過熱されて膨張するし、水分が蒸発して収縮もする。てんぷらもそうですが、揚げ物は食材の脱水作業であると言い切る職人さんもいるくらいです。当然ですが、脱水過多であれば肉汁も逃げいてます。また加熱過程においてタンパク質は固く変質していきます。揚げ時間を短くする為に温度を上げると、衣が焦げているのに火が肉の芯までは通らない。温度を下げて時間を長くすると、ジューシーでなくなり肉も固くなる。
揚げ油の温度管理、揚げ時間を一つ一つの肉質と相談して最適な落し所を見つける。これがとんかつ職人の技術ですね。
肉汁が逃げずに、しかも程よく火が通って柔らかいとんかつ。
こんなとんかつをいつも食べられたら、もう幸せです。
その幸せが『よしみ』にはあります。
ワンコインで豚丼と味噌汁が食べられるご時世に、1000円以上するとんかつ定食は高いと感じるかもしれません。しかし食べてみれば判ります。
旨いんだから
西葛西には幾つかとんかつ屋がありますが、ここが一番です。
駅から遠いのが難点。
余談ですが、低音で長時間揚げるとんかつは旨くないと書きましたが例外が一つあります。超低温で長時間揚げる手法です。
上野にある『平兵衛』は揚げ時間が20分以上かかります。揚げている鍋の中には泡一つ立ちません。油の中に衣をつけた肉が静かに沈んでいる。それほど低温で揚げています。衣のパン粉は超微細で、卵の中に溶けてしまうのではないかと思えるほど。
揚げあがったとんかつは黄金色ではなく、白いとんかつ。肉は非常にジューシーで旨味がたっぷり。
先代の主人から、とんかつに対して独特な持論に固執しており、他店とは全く違うとんかつを供します。
旨いことは旨いのですが、あれははっきり言って豚肉のコンフィです。個人的にはとんかつとは思えない。
一部に熱狂的なファンがいるお店ですので、一度食べてみるといいですよ。とんかつの概念が変わります。

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