ル・ラピュタのチーズケーキの続きです。

ワインはD:VIN 2001と言うワインにしました。
一応データを載せますと、
メルロー80%、カベルネ20%
アリエ産の新樽100%
14ヶ月の熟成
ノンフィルターでビン詰
平たく言うと、ふくよかな甘味と厚い果実味のある、まとまりの良い赤のフルボディのワインです。
家族経営の小さな醸造所でしたが、一念発起して高品質のワインを造った。値段の割にかなり美味しいワイン。いわゆるヴァリュー・ワインと言うやつです。

色も濃くて、全然透けてないでしょ。
メルローが80%なので、ムチャクチャ重いわけではなく飲みやすい。
ワインの縁の色は濃いスミレ色で、まだまだ若いワイン。
それでも去年よりは丸くなっていました。
薔薇の花、ブルーベリーの香りがして、飲んだ後にも美味しさが口の中に残る。

チーズケーキですが、まずはゴルゴンゾーラ。
ゴルゴンゾーラのかび臭さはそんなに感じません。フォークを入れるとシットリとした感じ。
口に含むと、おぉ〜!ゴルゴンゾーラだよ。(って、当たり前だってば)
でもクリームを上手く合わせてあって、ゴルゴンゾーラの塩気と青カビの風味を残しながら、穏やかな仕上がりになっている。
チーズが好きな人はこれだけで食べられるでしょうが、紅茶じゃなくて、やはりワインがあったほうがいい。
ゴルゴンゾーラのようなチーズに繊細なワインを合わせると、ワインがチーズに負けてしまうことがあるのですが、チーズの癖が抑えられているのでその心配がない。
こりゃ、いいですよ。

リコッタです。
フレッシュタイプで癖がなく、チーズ嫌いの人でも大丈夫なチーズ。料理に使う事が多いですが、逆に言えばこれだけだとワインに負ける。
食べてみるとやはりアッサリとした仕上がり。
でも、ポワブルローゼが活きています。
彩りに使われるスパイスですが、そうは言っても胡椒の1種。
軽い胡椒の風味がアッサリしたリコッタのアクセントになって、きりっと引き締まっている。
ボルドーよりも、スパイス香の感じられるローヌのワインに合わせたら美味しいと思います。

グリエールは他のものと違います。
このケーキだけ表面が粉を噴いたようになってるでしょ。
他のケーキは生地にチーズが練り込んであるのですが、グリエールは表面にチーズが使われています。中の生地はクリームチーズとレモンを使ってヨーグルトのような風味を出してある。
表面のグリエールが焼けた香ばしいチーズの風味をたたえています。塩味とコクのあるチーズなので、中の生地に使われた素材の酸味と甘味が程よくマッチする。一番下のタルト生地とヨーグルトの生地の間にママレードのようなものが、ほんの少し入っている。アプリコットですかね。
かなり考えられた組合せです。
塩味と甘味を、酸味をクッションにすることでまとめてある。
ワインを引き立ててくれる。これはワインが美味しく飲めますよ。

カマンベールは元のチーズの風味をかなり残してあります。
カマンベール自体それほど強い風味を持っている訳ではないですが、このケーキに使われている物は良く熟成した物だと思います。
トロリとした食感も残してあって、大変良く出来ている。
ほんのりとナッツの風味のするケーキに仕上がっていますから、良い白ワインに合わせても美味しく頂けそう。
カマンベールの好きな人はワインがなくても、このままで十分美味しいケーキとして食べちゃいますね。

ゴルゴンゾーラバジルです。
上2/3はクリーミーに、下1/3はしっかりとした生地。
クリーミーな部分にゴルゴンゾーラとバジル、クリームの風味がほとんどそのまま残っている。下の部分はゴルゴンゾーラ。
全体としてかなり癖のある仕上がりで、最初のゴルゴンゾーラと比べると全く異なったケーキになっています。
かなりシッカリしたボディのワインじゃないと、このケーキには負けてしまいますね。私の好きなタイプのブルゴーニュなんか飲んだら、気持ち悪くなるぐらいに絶対合わないと思う。
逆にレバノンのミュザールのような癖のある芳醇なワインには良いかも知れない。並みのイタリアワインじゃワインもケーキも死んじゃうかなぁ。
何種類もいっぺんに試したのは初めてでしたが、なかなか楽しくワインが飲めました。
どんなワインにも合いそうなのが、グリエールとゴルゴンゾーラ。
スパイシーなローヌや鄙びた感じのポマールなどにはリコッタ。
白ワインや、繊細な赤ワインにはカマンベール。
複雑で芳醇なワインにはゴルゴンゾーラバジル。
いろいろなタイプのワインに合わせられるようにケーキが用意してある。
私が気に入ったのはグリエールで、カミさんはリコッタでした。
ワインを楽しむ為のチーズケーキになっているのか?
なっていると思います。
自宅でチーズの熟成度合いを管理するなんて言う面倒なことをする人はほとんどいないと思うので、家でワインを飲む時に、食べごろを見極められたチーズの風味を手軽に楽しめると言うメリットは大きい。
ゴルゴンゾーラバジルを除いてチーズの癖は押さえ気味なので、合わせられるワインの幅が広い。つまり組合せの失敗は少ない。
この2点についてはシェフの試みは成功していますね。
自宅で飲む、食べると言うことを考えると、チーズ自体を超えるメリットです。
『こんな中途半端なものでワインを飲むより、デパートでチーズを買ってきたほうが良い』と言う人も絶対いると思う。チーズの味と言う点では中途半端なのは事実ですから。正直な所、私も途中までそう思ってました。
しかし自宅で3〜4人でワインでも飲もうとなった時に、先に挙げた2つのメリットが活きてくるんですよ。
相性は嗜好だから、ワインを受け入れる幅が広いことはありがたい。
チーズの塊から人数分を切り出す面倒がない。手軽です。
抑えられているから、チーズの癖がそれほど好きじゃない人も楽しめる。
今回新作として登場したゴルゴンゾーラバジルも含めて、改良の余地についてはいろんな意見があると思います。完成されていると思わない人もいるでしょう。
でも、ワインを楽しむためのと言うのは嘘じゃない。
別に飛び切り良いワインじゃなくてもいいです。ワインを一本買って来る。
ル・ラピュタでチーズケーキを2つ買って800円弱。
それだけで、かなり食卓の幅が広がります。
ワインにこだわる人はもちろん、詳しくない人でも充分に楽しめます。
相性について不安があれば、店の人に聞いてみてください。丁寧に応対してくれます。
ぜひ、お試しあれ。
その他のケーキ達です。



みんな好評でした。
でも小さいのにちょっと高め。この価格設定をどう評価するか、人によって判断が分かれるかも。

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