俺はストレッチャーに乗せられ、救急車の中へと運ばれた。そして救急隊員は俺にこう告げたのであった。「内科を探しますので」…ちょっと待て、今から探すのか!?そんなもん連絡受けた時点で探し始めろよ…いや待てよ…もしかして…予感は的中した。十分経っても搬送先が見つからない。いわゆるたらい廻しってやつか!俺、たらい廻されてるのか!ニュースではよく耳にするが、まさか自分にそんな機会が来るなんて…そんな機会は突然やって来た。まだ救急車は交番の前にとまったままだ…どうなるんだ、俺!この間に毒が回ってしまったらどうするんだ!色んな事が走馬灯の様に頭の中を駆け抜けた。ところが次の瞬間、なんと突然腹の痛みが和らぎ始めた。そしてあっさり治っちゃったのだ。暖かい所で横になれたのがよかったのだろうか…とにかくもう大丈夫そうなので、俺は申し訳なさそうに「あのぉ…ちょっとよくなってきたんですが…」と救急隊員に告げた。隊員は「どうしますか?病院行きますか?」と聞いてきたので俺は、「行くもなにも見つかってないじゃない
か」と思いつつも「いや、大丈夫そうです。ありがとうございました」と言ってあっさり救急車を後にした。派出所の警官は相変わらず半笑いだ…しかし、さっきまでの痛みはなんだったのか…救急車まで呼んで、たらい廻しにまでされたのに…でも治っちゃったんだからしょうがない。それにしても、あの警官は一体なにが可笑しかったんだ?派出所は病人を休ませるところではないかもしれないし、病人を介抱するのは警官の仕事ではないかもしれないが、警官としてではなく、人間として対応して欲しいもんだ。ともあれ毒入りソーセージじゃなくてよかった…。 おわり

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