5日ほど前、右手中指を骨折してしまいました。
この写真を見て「あれ!」と思われた方がいらっしゃるはずです。
そうです、骨折していますが、骨折の治療につきものの”ギブス”はしていないのです。当然のごとく固定はしていますが、固定に使っているのは一本の包帯のみです。日本の治療ではおそらくあり得ないこの方法、実はこれもロシア式なんです。
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23歳の時、サンボを本格的に学ぶ為ロシアに渡りましたが、出発の2週間前、私は、左手薬指を骨折してしまいました。最初ギブスで手首まで固定していましたが、あまりにも動かせないので、アルフェンス(金属プレートがついた固定具)で骨折した薬指と中指だけを固定するものに換えてもらいロシアに旅立ちました。
ロシアについてから1週間くらい、その固定法で練習や生活をしていたのですが、みるに見かねた恩師のニコライ・クーリック先生に大学内の病院で一度診て貰いなさいと言われました。「どうせ、レントゲンを撮ってそのまま固定を続けなさいみたいな、ありきたりな事を言われ帰されるんだろう」と思いながら、「ただで見てもらえるしこれも経験だ」と、しぶしぶながら行ってみることにしました。
日本の病院と同じように、まずはレントゲンを撮りましたが、私の固定法を見た女医さんは「こりゃ駄目だ」とばかりに、私がしていたアルフェンスをポイッと捨て、くるくると包帯を巻き始めるではありませんか。あっけにとられ見ていましたが、巻き終わった後、その巻き方の美しさと完璧な固定にビックリしてしまいました。ギブス固定の様に、隣の指への障害や関節への機能の影響は全くなく、それでいて固定すべきところはキッチリ固定してあったのです。一本の包帯を使った芸術を見ているようでもありましたし、医者とは本来この様な人のことなのではないかと思ったりもしました。ポイントを抑えた最小限の固定ですので、リハビリもさほど時間がかかりませんでした。
おそらくロシアでは昔からある当たり前の方法だと思いますが、何かトレーニング理論とも相通じるところがあるように感じたのでした。
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