土曜日のことです。橦木倶楽部に顔を出したついでに、前々から訪れてみようと思いながら果たせなかった「CANNA家具店」を訪問してみることにした。「CANNA家具店」の山本彩子さんは、「東区まちそだての会」の最新メンバーである。場所は主税町筋を東に行き、善光寺街道の少し手前の三連蔵の東隣りである。かって味噌蔵として使用され、その後長らく倉庫として使われていた建物を借りて、ギャラリー兼工房としている。(相生町14-1 052-933-6268)
山本さんは、愛媛県の出身だそうだが、長野県で木工の技術を学び、長野のお店で修行をした後、独立したそうだ。手に技術を持った人の生き方というか生き様は、私のような口先だけの虚職(教職に引っかけたのだけど・・)の稼業にはまぶしく見える。山本さんの小さな体からは、オーラーが出ている。
店に並べられている家具は、山本さんの作品以外にも専門メーカーや友人の製作したものも並べられているが、いずれも山本さんの目にかなった落ち着いて味わいのある作品ばかりだ。
店の一角には、“小さな展示会”というギャラリー・コーナーが設けられている。6月中は、「光藤佐(たすく)」さんの作品が並べられている。光藤さんは、器を作るために料理の修行をしたという陶芸家だそうだ。“こんな器に盛られたら刺身が活きるかな”とか、“この器で茶を飲むといい”と思わせる暖かみのある作品だと思う。粉引・灰釉・黒釉・伊羅保の作品とあるが、伊羅保というのがよくわからない。CANNAさんのブログを見ると常滑のような備前のような素地を生かした素朴な陶器のようだが・・・??。詳しくはブログをご覧ください。
http://blogs.dion.ne.jp/canna/
*伊羅保について調べてみました。・・・ 高麗茶碗の一つ。鉄分の多い粗い土に引き轆轤目がはっきりしており、手触りがざらざらしている。見た目も手触りも荒々しく感じ、口縁にベベラ(土切れ)のあるのが約束。・・・伊羅保釉という表現もあり、釉薬をかけたものもあるようだ。
なお、7月の“小さな展示会”は、「鎗田英樹 ガラスのうつわ展」が予定されている。
家具のことは良く知らないのだが、目にとまった椅子のデザインが斬新だなと思ったら、柳宗理(民芸家柳宗悦の子息)というデザイナーの作品だった。「バタフライ・スツール」といい、1954年の作品の復刻で天童社製のものであった。ニューヨーク近代美術館やルーブル美術館にも収蔵されている近代デザインの代表作であるようだ。無知をさらけだし、今度は知ったかぶりで「イサムノグチの照明作品のデザインも商品化されていますよね」と話を向けたら、「そこにありますよ」とまたまた恥の上塗りをしてしまった。何事も勉強!またひとつ賢くなったかな?
大振りの湯呑みになみなみとおいしいお茶を淹れていただき、心豊かな気分に浸りながら、雑談に興じる。今日の橦木倶楽部の当番で、蚊に刺されながら庭掃除をしている今崎さんから「きんかん」を買ってきてと頼まれたことを思い出し、あわてて「テラシマ薬局」に向かった。今度は寺島さんと「好生館の横井信之」の話しで盛り上がり、ずいぶん橦木倶楽部に戻るのが遅れてしまった。今崎さん、ごめんなさい。

柳宗理の「バタフライ・スツール」

イサムノグチの“AKARI”シリーズの行灯

これが「伊羅保」の作品らしい。
橦木倶楽部では、瀧さんや高橋さんも集ってきてにぎやかであった。西尾さんと坂野さんは黙々と庭掃除をしている。末武さんが、優雅に琴の練習をし始めた。お屋敷に琴の音はぴったり調和している。神戸から来た若い女性二人(大学を卒業して就職したばかりだという)を案内していると田中さんが知り合いを5〜6人連れてやってきた。こちらは西尾さんが案内。さて帰ろうとしたら「先生!」と声がかかる。8年前の明和高校の教え子だった。案内して廻っているうちに、ゆかりさんと寺島さんも現れる。庭では相変わらず坂野さんと近所の方が掃除に専念している。私はのんびり優雅に一日を過ごさせてもらった。申し訳ない。

橦木倶楽部「中の間」で末武さんが琴の練習をしてました。

寺島さんのお手製の「さくらんぼ酒」。さくらんぼの香りがほのかに漂う。

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